3月24日。
宮城県気仙沼市の漁港にて。
対岸に、石油タンクが横倒しになっている。
焦げた漁船が、港に接岸されていた。
磨かれた漁船は、陸地に乗りあげられていた。
“第七朝洋丸”
すすまみれの船体に、真新しい看板が付け替えられていた。
内部の損傷が少なかったため、県外へ修理に出すのだという。
「まだまだ、生き返るぞ」
刺身包丁で、朽ちたロープを切り落としながら、
漁師さんは、これからのことを静かに話してくれた。
電気も水も、まだ通っていない。
手元に残った漁具は、海水で洗っている。
「明日もまた来てなぁ」
振り向くと、包丁を持ったまま、大きく手を振っていた。
海風に飛ばされたロープが、足元に散乱している。
何を捉えて、伝えるのか。
ハンドマイクを持ったまま、手を振り返すことはできなかった。
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