- 170cm
- 福岡県福岡市
- 日本女子大学附属高等学校→
日本女子大学 - 2001年4月1日
- 蠍座
「で、何箱分なの?」
蜜柑のように語られていたのは、
思い出の品々について。
驚いたのは、物置2棟分を軽井沢に保管している知人の話だ。
土地柄、通気性が良く、劣化の心配がないらしい。
折しも、数日後。
実家の模様替えを機に、眠っていた品々が自宅に送られてきた。
段ボール2箱分。
授業中に回した手紙、卒業式のサイン帳、チケットの半券など、
物置2棟分に比べたらこぢんまりしているものの、やはり懐かしい。
総じて、淡い記憶は美化されがちだが、
都合良く忘れていたことや、取るに足らないことを想起させる記録の数々は、
数十年を経ても乾かないペンキほどに、鮮やかで危うい。
最も古い記録は、小学3年生の時に書いた日記だ。
既定の学習帳を、手製のブックカバーが覆う。
白地にピンクの水玉模様。
銀座の伊東屋で見つけた、お気に入りの包装紙だ。
六月一日
「花のげきだん」(※おそらく宝塚歌劇のこと)
人生、お金がかかると言っても、よーく考えてごらん。
食料や電気せい品はべつとして。
冒頭、表題とは無縁のまさかの問いかけ。
三月二十日
「おつかい」
今日のおひる、パンを買いに、三人(父、私、妹)でおつかいに行った。
うちのでは、
「おつかいをたのまれたとき『イヤだ』と言わない」が、
だい一ぐらいに入っている。
思えば、父のみが黙って「護憲」を貫いていた。
かつての9歳に対して、合いの手を入れる34歳。
人生、お金はやっぱりかかるし、
憲法は、ここにきて改憲論議が盛んである。
そして、25年前の今日。
五月十三日
「文字」
口からこぼれる言葉。
みんな一つの心と気もちをふくろにせおっておりてきて、サンタクロースのよう。
口からおちた言葉達は、
せいれつして「ありがとう」だの、「ごめん」などの言葉になります。
その言葉は、話すあいての人の心に入って、
心のそろばんで計算し、それが、一人一人のになっていきます。
「バカ」や「アホ」の言葉(わるいことば)は、
食べ物といっしょになってしょうかされます。
日記に書いてあるこの文字も、一つ一つの文字に心がねりこまれているのです。
文字って本当にふしぎ…。
うん、不思議。
それだけは、何年経っても変わらない。