- 170cm
- 福岡県福岡市
- 日本女子大学附属高等学校→
日本女子大学 - 2001年4月1日
- 蠍座
月末最終金曜日。
『朝まで生テレビ!』を担当して、二年目になる。
番組には、台本がない。
厳密に言うと、台本の中身がない。
表紙をめくると、出演者とスタッフの名前がずらりと並び、
さらにめくると、裏表紙。
放送の展開は、誰も予測できない。
とは言え、事前の構成は綿密に行う。
田原さんを囲むスタッフとの打合せは、一カ月の間に何度も行われる。
通称「田原打ち」。
初めてその言葉を聞いた時、脳内で「田原討ち」と変換されてしまった。
暴力団、宗教、人権問題。
確かに、世の中のタブーとされる様々なテーマに切り込むことは、
討ち入りに重なるかもしれない。
ある日の田原打ちでは、憲法改正が話題に上った。
憲法9条をひとしきり議論した後、機をうかがって切り出してみる。
「先日、別の番組で、野中広務・元官房長官にお会いしました」
「へえ、そう!」
「野中さんは、憲法改正には断固反対で、
『そんなことをするなら、国会の前で腹を掻っ捌く』と、おっしゃっていました…!」
報告のつもりが、田原さんは言葉をひらりと翻す。
「で、村上さんは、何て答えたの?」
「え?」
「『掻っ捌いてみろ』って言った?」
「…言っていません」
「ダメだよ!『腹を掻っ捌いたところで、あなたはどうするんだ!』って聞かなきゃ」
「毎日」や「週に一度」の番組に比べて、
「月に一度」の場合、次回はずいぶんと先にある。
―と、思いきや。
月末最終金曜日は、毎回、とても早く訪れる気がする。
あなたはどうするんだ!
わたしはどうするんだ?
腹を括って、臨みたい。