前の記事を読む 次の記事を読む  
 
 

 

「トップ!お天気コーナー」(2001/10/30)

 
10月1日。秋の情趣を忍ぶべく、ぱらぱら歳時記をめくると…「衣替え」。
しかし、洋服どころか「魂全て入れ替えろ!」といった感のある、最近の私である。

今月から、早朝番組「トップ!」の中で、お天気コーナーを担当することになった。
天気予報の前には約10秒間の「前振り」があり、ここでは自分なりの季節感を話す。
毎回「何を言おう?」と頭をひねり、話題を搾り出すのだが…。

『せ、先週の雨で、きんもくせいの花が散りました。
地面一帯はオレンジ色の雪が降り積もったようでキレイだったデス。』

―かと思うと、カメラの前で絶句することもしばしば。
みんなが「うんうん」と頷くようなコメントには、程遠い。

本番中は、全てが夢のように感じられる。顔は凍り付き、神経はざわざわと波立つ。しかし、実感が全くない。
目の前の10秒間を追いかけているうちに、自分の場所や、目的や、他の様々な事象が、頭からふっと消えてしまう。
足先が窄まって幽霊になった気分だ。モニターに映った「顔面蒼白」然り。

カメラの先に広がる日本の季節。それを受け止めるさまざまな人たち。視界を阻む雲間に潜んだ、日々の気象と、四季折々。「雨降って地固まる」とは言うけれど、冬が到来し、空気が乾燥してしまう前に、秋霖にあやかってでも自分の地盤を固めたいと思う。(※しゅうりん秋霖・・・秋の長雨。梅雨時に似た気圧配置によって生じる雨季)

 


番組MCの今泉さんと、佐分アナウンサーと一緒に撮りました。
 
 
    
前の記事を読む 次の記事を読む