- 156cm
- 富山県高岡市生まれ鎌倉市育ち
- 神奈川県立外語短期大学付属高等学校→
早稲田大学第一文学部フランス文学科 - 1977年4月1日
- 山羊座
4月11日から14日まで代々木第一体育館で3回目を迎える世界フィギュアスケート国別対抗戦が行われています。この大会の立ち上げにかかわった一人として初日に現場で試合を見ながら、何とも言えない幸せな気分になりました。
2009年の第一回国別対抗戦の成功に、国際スケート連盟のチンクワンタ会長が「是非オリンピック種目にしたい」と提案したことが実を結び、来年のソチ五輪から「フィギュアスケート団体戦」が正式種目となります。今回の開会式でチンクワンタ会長が言葉した言葉が印象的でした。「優勝するのはこの選手だろうと予測する通りの結果になることが多かったフィギュアスケートが、団体戦にすることでどの国が優勝するか全くわからないエキサイティングなスポーツになりました。」全くその通りです。
また、国別対抗戦は日本だったらこそ成功したと言えるかもしれません。
ここ数年、日本選手たちの実力はぐんぐん上がってきました。それもただ強いだけではなく、ストーリー性を持った強さで、視聴者を釘付けにしているのです。
今回も高橋大輔さんの演技を見終わって、なぜか涙が頬を伝っていました。一見ちゃらちゃらしているように見える彼が 右膝の前十字靭帯断裂と内側半月板損傷を負ったのが2008年10月。世界一と言われるステップワーク、果敢に挑戦する4回転。よくここまで演技ができるようになったと感動してしまうのです。
また、真央ちゃんブームの中で鈴木明子さんはどんな思いをして演技をしているのだろうといつも思います。リンクに出ていくときに背中ががちがちに硬くなっていた真央ちゃんとは対照的に、2階席まで満員になった会場に臆することもなく笑みをたたえてリンク中央に向かった明子さん。キルビルの曲にのせてパワフルで観客の視線をぐいぐいひきつけていく演技に、女子シングルの新しい魅力を教えてもらったような気がしました。それは現代女性の生き方にも通じるものかもしれません。
選手が素晴らしいのはもちろんですが、最も称賛すべきは会場を埋めた観客かもしれません。この観客があってこそ、国別対抗戦がここまで大きなイベントに成長したといるでしょう。
私のそばで観戦していた中高年のご婦人二人組の話は、もうテレビに解説はいらないんじゃないかと思えるほど詳しく、演技中はじっと集中してみておられました。女子シングルでロシアのソトニコワがノーミスで演技を終えると、観客みんなが総立ちになって嵐のような拍手が送られるスタンディングオベイション。観客と選手が一体となるスポーツ空間がそこにはありました。
その様子を見ながら、1977年に日本で開かれたバレーボールワールドカップの観客にユネスコからフェアプレー賞が贈られたことをふっと思い出しました。競技が盛り上がりを見せるということは、選手が強くなるだけでなく、観客の見方も成熟することを意味するのです。