『100歳の少年と12通の手紙』は、大変な力を持った原作でした。
余命わずかな少年オスカーを子供扱いすることなく、
大人として接するローズ。
オスカーに、「残りの日々を一日10年と考えて生きること」を提案するローズと、
それによって変化してゆくオスカーとの信頼関係に、
胸がいっぱいになりました。
ユーモアと想像の力の素晴らしさ!
そんな原作が、音楽×ダンス×朗読「観る朗読劇」として
初めて日本で舞台化されました。
元東京バレエ団プリンシパル 中島周さんの、
はりつめたり揺らいだりするオスカーの心の糸が見えてくるようなダンス。
大嶋吾郎さん 久保田陽子さんのドラマティックなヴォーカル。
毎日一日限りのオスカーとローズのペアを、
錚々たる役者のみなさんがつとめられました。
私は、9月14日
古川雄大さんのオスカーと、ペアを組ませていただきました。
演出は、数々の舞台を創りあげていらした
気鋭の演出家 鈴木勝秀さん。
「ぶっきらぼうな態度の奥底に見える優しさ」という
大切な表現の話をしてくださいました。
優しさを前面に見せないことでこそ伝わるリアリティ。
悲しい時ほど、悲しさを内に潜めて
鋭角に打ち出せるかどうかがとても大事。
それを、この舞台を通して学ぶことができました。
悲しいことを長調の旋律に乗せて歌うブルースという音楽での文化として
すでに証明されているように、
悲しい時こそ明るく
明るい時ほど冷静さを保つ。
その方が、聴く人の心に染み入り、人の心を打つ。
これまでも、頭ではそうと意識してきたつもりでしたが、
今回この舞台を通して、
それが瞬間的だったとしても、体感できたように思いました。
心から、ありがとうございましたと言いたいです。
スタッフの皆様、おつかれさまでした!
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