前の記事を読む 次の記事を読む  

トップ > パーソナルトップ > プロフィールトップ > エッセイバックナンバー
 
 
6月7日   ワールドプロレスリング実況四銃士の闘魂コラム#118
〜実況アナの悩み〜

実況アナウンサーとして、最近、ある問題に直面しています。
私が今、直面しているその「悩み」とは、
ズバリ、「大絶叫」です。

最近のワールドプロレスリングは後楽園ホールでの収録が多く、
観客の声の圧力を背中に感じながらの実況が多くなっています。
あたりまえのことですが、サッカーや野球を始め、
多くのスポーツ実況は会場の中に実況席が作られます。
アナウンサーはその実況席で解説者の方と、
実況解説を構築していきます。
ただ、スポーツによって、
その実況席が設置される場所は大きく異なります。
サッカーはピッチの遥か上空に実況席が作られます。
野球も大方、グランドを大きく見渡せる場所に作られます。
そして、プロレスの実況席は、観客席の最前席に作られます。

ここで問題となるのが、
「観客席の最前席」というキーワードです。
プロレスの実況席は数センチ後ろには観客、
目の前にはリングという場所に作られるわけです。
ですから、「観客の熱気」、「大歓声」を背中にビシビシと
圧力として感じながらの実況になります。
観客の熱い想いを受け、マイクに向かって
その膨大なエネルギーを放出していきます。
すると、どうしても、「自分の声」のトーンが上がっていきます。
観客の熱を受けて、知らず知らずに、
この世の終わりを叫ぶような「絶叫」になってしまいます。
観客の大音量に掻き消されまいと大声を張り上げてしまうわけです。
特に、観客が異様な盛り上がりを見せる、
後楽園ホールでは、ベルトを緩め、身体全身の生命力を掻き集め、
死力を尽くして実況しないと、とても声が持ちません。
熱狂の渦に包まれた後楽園ホールで、
熱に酔い、我を忘れ、大絶叫を渾身の限り行う。
これが今、現在の私のプロレス実況スタイルです。
そして、その「大絶叫」スタイルこそ、私が直面している問題です。

正直、このままで良いのか?
と自問自答しています。
答えは出ていませんが、今後とも試行錯誤は続けていきます。


次の実況は6.17後楽園です。
 
 
    
前の記事を読む 次の記事を読む  

トップ > パーソナルトップ > プロフィールトップ > エッセイバックナンバー