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12月14日   ワールドプロレスリング実況四銃士の闘魂コラム番外編
〜悪夢の両国〜

10・9両国国技館
またしても「事件」は起きました。
その日私はサッカーの全日本ユース決勝を
埼玉スタジアムで実況してから、
両国国技館に移動するという予定でした。
予定通り、埼玉スタジアムから両国国技館に到着すると、
第5試合がちょうど始まる時間でした。
私は控え室のモニターで第5試合、
真壁・越中組対飯塚・曙組を見ながら、
自分の実況担当である、
「棚橋弘至対天山広吉」IWGPタイトルマッチの準備を進めていました。
第5試合が終わると同時に私の準備も終わったので、
次の試合はリングサイドで見ようと思い移動しました。
今振り返れば、これが、悪夢の始まりでした。


まさか、あんなことになるとは、この時点では想像できず。

第6試合「高山善廣・鈴木みのる組対山本尚史・永田裕志」の
熱い一戦をリングサイドで観戦した私は
試合後、高山・鈴木組がどんな「毒舌」を繰り出すのか
楽しみにインタビューゾーンに向かいました。
これが、恐怖体験の序章でした。


このあと、吉野にとって嫌な時が訪れた…

マット界の帝王・高山善廣と世界一性格の悪い男・鈴木みのる。
私は直感しました。
インタビューゾーンで何かが起こると。
インタビュアーは先輩の櫻井健介アナウンサー。
私は櫻井アナが、
プロレス界最強の毒舌を持つ二人にどんな闘いを挑むのか?
しかと見届けようとこっそり、周りの報道陣にまぎれていました。
そして、最強の毒舌が炸裂しました。

鈴木「オイ!!どこまで歩かせるんだ!!」
櫻井「あ、ここで大丈夫です!!」
鈴木「オイ!椅子がねえぞ!!俺らには椅子がねえのか?冷てえなー!!」
櫻井「ハイ、すいません。」
鈴木「お前!!どこの人間だ!!」
櫻井「テレビ朝日です。」
鈴木「あー、感じ悪いなー!!」

私は先輩が毒牙にかかる様を
他の報道陣とともに遠巻きに見ていました。
すると、突然、想定外の声が響き渡りました。

「オイ!!吉野!!」

声の主は高山善廣でした。
私は蛇に睨まれた蛙のごとく一瞬で固まりました。

高山「オイ!!吉野!!お前、ちゃんと後輩を教育しとけ!!」
吉野「ハイ!!?」
高山「お前の教育が悪いんだよ!!お前をもう一度新人教育するぞ!!」
吉野「ハイ、すいませんでした。」

まさかの事態に、私はパニックになり、
理不尽な要求にも関わらず思わず必死で謝ってしまいました。
情けない限りでした。
先輩である、櫻井アナの必死の受身を興味本位で見に行った
私のよこしまな心をまるで見抜いたかのようなダメだし。
大勢の報道陣の中から、瞬時に私を発見し、
鋭いダメだしをするマット界の帝王。

全てにおいて、私の完敗でした。
その日は櫻井アナと二人で
高山・鈴木組の毒牙によって刻まれた心の傷を舐めあいました。

高山さん、今後もご指導よろしくお願いします。
 
 
    
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