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1月6日   ワールドプロレスリング実況三銃士の闘魂コラム#29
〜12・12名古屋での死闘、そして涙〜


今回は12・12名古屋大会での出来事を語らせて頂きます。

12・12名古屋。
メインのIWGPタイトルマッチ「佐々木健介対天山広吉」は壮絶な死闘でした。
その闘いで、天山の強靭な肉体と超人的な体力があらためて示されました。

天山

 

健介

12月4日、岡山大会。
12月5日、全日本プロレス・三冠王者川田利明と30分を超えるタイトルマッチ。
12月6日、高知大会。
12月7日、宇和島大会。
12月9日、広島大会。
12月11日の大阪では好敵手・小島聡と30分ドロー。

そして、迎えた名古屋大会。
王者・健介の必殺ラリアットを何十発も受けた天山。
強烈な一発が入る度に、会場から起こる天山コール。
そしてその声援を受けて、必死の力で立ち上がる天山。
殺人的なスケジュールで闘い抜いて来た男が、どうして立ち上がることができるのか。
鉛のように重くなった身体を酷使しながら、
王者・健介に立ち向かっていく
天山には、鬼気迫る「なにか」がありました。
それは、この一年、泥水を飲まされてきた男の意地であったのか?
それとも、健介に「会社に飼いならされた牛」と酷評された男の意地であったのか?
その「なにか」に明確な答えはありません。
ただ、健介の重いラリアットやノーザンライトが天山を襲うたびに、皆が「もう駄目だ!!」と想っていました。
しかし、そこから始まる天山の逆襲。
そこには、天山広吉の「意地」と「誇り」と「強靭な精神力」がありました。

 

アナコンダバイス

 

天山フィニッシュ!

そして、試合後の会見。
見事、新日本の至宝「IWGP」を奪取した天山を取り囲むマスコミ陣の傍らに、涙を流しながら立ち尽くす一人のヤングライオンがいました。
その男の名は「後藤洋央紀」。
付き人として殺人的なスケジュールを共に過ごし、満身創痍の天山を支えてきた男の「涙」には輝きがありました。
天山を代表とする新日本本隊は、今年、外敵にやりたい放題やられていました。
その本隊を支えてきた、若いプロレスラーの苦渋の想いをも晴らした、天山の闘いには本当に感動をもらいました。

男の涙・後藤洋央紀

そして、後藤洋央紀の涙に気が付いたのも、『ワールドプロレスリング』を支える新人ディレクターでした。
勝利会見で天山の背後に立ち尽くすヤングライオンの涙に気が付いたのは、おそらく彼だけでした。
新王者・天山にマスコミの視線が集中するなか、彼だけが後藤の涙に気付き、私にそのことを教えてくれました。
その着目点、感性に、私は大いに教えられました。

12・12名古屋大会は、「新日本プロレス」のみならず、『ワールドプロレスリング』にも確実に若い力が根付き始めていることを確認できた大会でした。

 
 
    
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