LCCには空港やその地方を活性化させるインパクトがあるのです。
例えば、LCC先進国のヨーロッパではLCCが就航するとどんな片田舎の町でも訪問客が一気に増加しその地方が活性化するという現象が起きていて、地方自治体の間でのLCC誘致合戦も起きています。
佐賀空港も、北九州空港と熊本空港との誘致合戦を勝ち残って春秋航空就航にこぎつけました。空港を管理する佐賀県が着陸料全額補助や3年間の団体客県内宿泊費の一部補助などの破格の条件を提示したのですが、これもLCCが空港のみならず地方全体に及ぼす経済効果を考えてのことでした。
そしてLCC元年の今年、すでに日本の空に変化が起きています。
日本の元祖LCCとも言われるスカイマークが、成田空港などから大増便の攻勢をかけているのです。
スカイマークの料金は例えば成田-那覇路線では4週間前までに買えば6千円弱、普通運賃でも他社の半額以下です。
こうした魅力的な料金設定の結果、沖縄発着便の全路線の搭乗実績を見てみると、今年1月はJALやANAが対前年比で減らしている一方で、スカイマークはほぼ倍増しました。
さらにその先の那覇―宮古島路線ではスカイマークが激安の3800円という価格を打ち出したことで、競合するANAやJTAは最低運賃を同じ額まで引き下げざるを得ませんでした。その後スカイマークはさらに2800円まで値下げしました。
こうした結果、今、宮古島を訪れる観光客が大幅に増えているそうです。
一方危機感を抱いた隣の石垣島では、議会が早期のスカイマーク就航を求める決議を行い、署名運動まで起きています。
実は日本はこの10年、唯一先進国の中で航空旅客数が伸びていません。
それは、世界中で普通に利用されているLCCが存在しなかったということが大きな原因と考えられています。
日本の航空業界は長年、航空行政の保護下に置かれ本当の意味での自由化は行われていませんでした。
国内線には実質ANAとJALしかなかったのですから、一時倒産したJALが放漫経営をやめてしっかりした経営を行えば業績が回復するのは自明の理でした。
海外に比べてぬるま湯といわれた航空業界が、今年LCCによって本格的に活性化されます。
ヨーロッパではLCC参入後、EU域内での航空旅客数が40%も増加したそうです。つまり、これまで飛行機をあきらめていた人々が気軽に利用するようになり、地域間での人の往来が劇的に増えているのです。
日本でも今年LCCが、行き詰っている経済の起爆剤になることが期待されますね。
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