実際にその方法で新規参入業者を利用しているマンションの住人にお話を聞きましたが、月の電気料金を1割から2割も安く出来たと喜んでいました。
また、既存の電力会社には、総括原価方式と言われる独特の料金設定システムがあり、最近問題視され始めましたね。
東電の資産査定を進めていた政府の調査委員会の最終報告でも、そのあり方を見直すよう指摘されました。
この総括原価方式では、電力会社が人件費や燃料費などコストを積み上げ、自ら利益を決めることが出来ます。
利益は発電所などの資産に応じて決まりますので、原発など資産を持てば持つほど利益が上がることになっています。
さらに電力会社は、そのかかった分を電気料金として利用者から回収出来るというものなのです。
既存の電力会社には大変都合の良い仕組みですが、新規参入業者にはもちろん適用されていません。
さらに新規参入業者は、送電線の使用料金を既存の電力会社に払わなくてはならず、その額は莫大で、新規参入業者のコストの2割にも上っているそうです。
菅前総理が以前、電力会社の発送電分離に言及しましたが、その後、海外では当たり前に行われているこの発送電分離については、政府にも国会にも言及する動きがあまりなくなってしまいましたね。
政府の調査委員会でも発送電分離は先送りとされてしまいました。
結局、こうした既存の電力会社に有利な規制が残されているために、新規参入業者は中々一般に広まりませんし、何よりも私達消費者の利益や自由が、その分減らされてしまっています。
電力の完全自由化が進んでいるドイツでは、様々な新規参入業者が存在していて、消費者は例えば、風力発電100%の業者や水力発電が主体の業者などを自由に選べるようになっています。
消費者には、エコに対する意識など料金以外の観点でも、選択の自由を認められているのです。
この国のあり方が、本当に私たち消費者の側に立つものであるならば、電力の完全な自由化や発送電分離などの根本的な電力改革が必要なのではないかと思います。
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