電気は、
スイッチを押せば無尽蔵のように点くのが当たり前と思っていた私ですが、
いざ、手作りの電気が灯るまでの裏側を取材すると、
逆に電気が点くことのありがたみも強く感じました。
「自分で作った電気だからこそ、大切に節約して使いたいですね。」と、
おっしゃっていた家の方の言葉が印象的でした。
この限りない可能性を秘めた小水力発電ですが、
普及には、大きな課題が残されています。
ひとつは、経済性です。
小さな水車であれば、それ自体の価格は50万円ほどですが、
設置や工事にかかる費用も含めると、ケースによって異なりますが、
300万円ほどの費用がかかります。
国からの補助が出るとはいえ、自己負担は小さくありません。
また、その費用を回収するための売電価格が、現在は10円ほどと、
他の自然エネルギーに比べてかなり低いのです。
太陽光発電は、最近売電価格が、24円から48円に引き上げられ、
国を挙げて拡大されようとしています。
専門家の方によれば、仮に小水力の売電価格が、
25円や30円に引き上げられれば、急速に普及する可能性が高いということです。
現在、経済産業省でも、
小水力も含めた再生可能エネルギーの買取制度について
プロジェクトチームが作られ、議論されているところですので、
ぜひ、良い方向に進むように願うばかりです。
もうひとつは、なんとも日本的な問題なのですが、
水をめぐる手続きの煩雑さです。
水に関する権限が、
国土交通省、農水省、経産省などが入り混じる縦割り行政の弊害を受けていて、
それぞれの許可をとる必要があるため、
申請から工事を行い、実際に発電が始まるまで、
大体3年以上もの月日がかかってしまうそうなのです。
また、いちいち行政を納得させるために膨大な資料を作る必要があり、
一般の人には大変な負担がかかってしまう現実があります。
こうした負担をすこしでも減らすために、
最近ではNPO法人のかたがたが、申請の手助けなどもはじめていますが、
根本的には、複数の省庁にまたがっている権限を、ワンストップサービスとして、
ひとつの窓口でまとめられるようにする法整備が必要かと思われます。
小水力発電は、温暖化防止に向けて待ったなしの今の時代にあって、
CO2削減に間違いなく貢献します。
また、これまで不便とされていた山間での生活が、
逆に電気を生み出すという大きなメリットを得て一変する可能性があります。
山間の集落が、自分たちで作った電気で収益を得て、
さらに電気自動車が走り回るという将来も、
決して遠い未来の話しではありません。
『小水力発電の可能性は非常に大きく、夢は大きく膨らむ!』と
強く実感した今回の取材でした! |