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6月7日 さすが職人の勘!!

 
・鳥越さん
私の担当している「ザ・スクープ」のキャスター鳥越俊太郎さんは、自らの肩書きを【ニュースの職人】と決めています。毎日新聞の記者として様々な分野の取材を手がけ、「サンデー毎日」編集長として辣腕を奮い、「ザ・スクープ」のスタートとともにテレビの世界に飛び込み、キャスター兼取材者として世界中の現場を駆け回ってきました。
確かにそのニュース一筋の経歴からいっても、ニュースへのこだわりからいっても【職人】という表現がぴったりです。

・長野さん
もう一人のキャスター長野智子さんはかつて【花形女子アナの職人】でした。
実は長野さんは私と同じ年に(今からウン十年前?に)入社したアナウンサーで、同期の桜の関係にあります。入社前から同じアナウンサー受験組として面識があって、新入社員時代にも同期入社の各局メンバーとともに飲みに行ったりしていました。私はテレビ朝日、長野さんはフジテレビに入社したわけですが、長野さんは入社当時から一気にスターアナウンサー街道まっしぐらに進んでいきました。

あの頃から華があったし、トークがうまかった。既に学生時代からミスDJのパーソナリティだったし、やはり【花形女子アナの職人】の道を歩んでいました。ここで【職人】という表現を使うのが適切かどうかはわかりませんが、プロフェッショナルな感じがして、画面からも職人芸があふれていました。

でも確か、華やかなバラエティ番組に抜擢されていったあの頃から、長野さんは「私が目指しているのは報道番組」と真剣に話していました。見た目の華やかさとは対照的に、意外に地味でまじめな面も見せるんだなあと思ったことがあります。
冒頭「かつて〜だった」と書いたのは、現在は鳥越道場主のもと【ニュースの職人】道を究めているからです。

・で、職人の勘とは?
なんで今回、【職人】話をいきなり始めたかというと…… 
実は、先日驚くべき【職人の勘】に遭遇したからです。

先日の「ザ・スクープ」打ち合わせの場面。
キャスター、スタッフが出来上がったVTRをプレビューしていたときのことです。
鳥越さんが…
「おい!今のテロップ!名前が間違っていないか??」
とチェックの一言。
ある有名な検察幹部の名前の字幕が間違っていると指摘したのです。
この人は新聞やテレビのニュースで名前をよく見る人物で、言われてみると、確かに字面に違和感を覚えるような気がします。数秒で消える一瞬の字幕の間違いを見逃さない鳥越さんの恐るべき勘がはたらいた瞬間でした。すぐに確認してみると、確かに一文字間違っていました。
「すぐに直します」
「気をつけてくれよ!人の名前とか地名とか、こういった基本を間違えるとみっともないぞ!名前の漢字をカタチで記憶しているので、ちょっとでも違うと変な感じがしてすぐわかるんだ」

さすが【職人】です。鋭い指摘でした。
引き続き、私達はVTRを見始めました。しばらくすると
鳥越さんが「おい!今の人の名前も違うんじゃないか?大丈夫か?」とまた指摘。
この人物はさっきの人ほど有名な人ではないし、名前がそれほど一般の目に触れる人ではない。スタッフ一同も『鳥越さんももともと下の名前までは知らないはずなのに…』『そんなに疑心暗鬼になってチェック魔にならなくても…』と思ったはず。
ところが…
一応調べてみると、なんと本当に一文字間違っていたのです。
これには指摘した鳥越さん自身も驚いた様子。
私が「何でわかったんですか?」と思わず聞くと
「カンだよ。カン!」とまんざらではない表情の鳥越さん。
そうです。これは本当の【職人の勘】です。確かに鳥越さんは指摘した人物の名前を知らなかったはず。いや苗字は知っていたかもしれませんが、下の名前は絶対に覚えていなかったはずです。しかし、指摘した誤字は下の名前の一字。つまり、これぞ職人の勘なのです。これにはびっくりさせられました。こういうことってあるんですねえ。

【職人の勘】というと、思い出す話があります。もう一人の、ある【職人】もテレビ業界で熟練した技を披露してきている女性なのですが、以前私に「私カンがはたらくの…」と恐るべき話をしてくれました。この話は次回にしましょう…つづく。

   
 
    
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