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6月16日 元北朝鮮工作員・安明進(アン・ミョンジン)さんに会ってきました。
 
 

先日都内某所で、北朝鮮による拉致に関する講演会が行われました。
そこに元北朝鮮労働党作戦部戦闘員・安明進(アン・ミョンジン)さんが来るというので、
会いに行ってきました。通訳は「特定失踪者問題調査会」の荒木和博代表です。
「今回の小泉訪朝について」と「拉致された日本人全員を救うにはどうしたらいいのか」意見を聞きました。安氏は穏やかな表情ではありましたが、鋭い視線を投げかけながら次のように語りました。

 

「拉致問題があともう一歩というところにきていながら、小泉首相が最後のカードを切ってしまったことは残念でならない。拉致問題では北朝鮮のほうが焦っている。」「日本は北朝鮮に対して、知らん顔して圧力をかけ続け、金総書記が焦って子供たちを連れて来日するのを待っているべきだった。」

また、「拉致された人を全員(何百人といるはず)を救い出すにはどうすればいいのか」という問いには、「北朝鮮が嫌がること、恐れていることをやって、脅すことが最も効果的。それは、決して卑怯なことではないのです。北朝鮮がこれまでにやってきた方法だからです。同じことをしてやればいいのです。具体的には、経済制裁の発動とアメリカと組んで軍事力の行使です。」
続けて、「日本は世界で2番目の経済大国です。その国が、何で北朝鮮に頬を叩かれて金を出しているのか。金正日政権に金を出し、体制を維持させるということは、本当に苦しんでいる北朝鮮の人々に、さらに長く辛い苦しみを与えることです。もっと北朝鮮という国を正しく理解してください。北朝鮮は日本の常識では図れない国です。政府が出来ないなら、国民がやるべきです。」と厳しい指摘をしていました。

 

次に、「今でも拉致が続いている可能性はありますか」と質問したところ、
「前回の会談で金総書記は拉致を認め、謝罪はしましたが、日本人拉致の基地である清津(チョンジン)連絡所を閉鎖するとは、一言も述べていない。拉致の必要があれば、いつでもやるはずだ」ということです。
「拉致問題は日本国民全ての安全に関することです」「拉致致被害者とその家族だけの問題ではありません」「今後の日本の平和と安全のために、徹底的に戦うべきです」と語りました。

政府が認めている拉致被害者は10件15人ですが、それは氷山の一角にすぎません。
そして、この問題は時間との戦いです。被害者のご両親やご家族が高齢になり、中には亡くなった方もいます。再会を果たせなかった無念さは、いかばかりだったでしょうか。
インタビューしていても、胸がつぶれる思いです。
事件を知る関係者の記憶も、年月とともに薄れてきています。すでに事件の風化は始まっているのです。その記憶を記録に留め、それを目にした人から、新たな情報出てくることを祈って取材をしています。ようやく、30年ぶりに拉致未遂に遭ったことを証言してくれる人が出てきました。一人でも多くの人が勇気を持って、拉致事件に関する証言をしてくれることを願っています。
そして、一日も早い拉致問題解決に向け、これからも取材を続けていきたいと思います。

   
 
    
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