これまでの人生で、「勝負をかける時」には栄養ドリンクを飲んできました。
例えば、大学受験。例えば入社試験最終面接。例えば研修最後の日。
そんな話を部内でしていた、2年前。
確か入社1年目の年末だったと思います。
研修幹事でもあり、
今もなおいつも私の「実況」を気にかけてくださる中山アナに、
一本の栄養ドリンクを頂きました。
「番組関係でもらった」というそれは、自分では間違いなく買わないであろう、
一本数千円もする、非常に高価な品でした。
高価なもの故に遠慮する私に、中山アナがこう言いました。
「わかった。じゃあ野上が、ここが勝負だ!と思う実況の時にこれを飲めよ!」
恐らく中山アナは、今ではそんな発言をしたことを覚えていないと思います。(笑)
ただ、あの日以来、その言葉と一本の栄養ドリンクが、
私が担当する実況前日に、必ずひっそりと、頭の中にやってくるのでした。
「飲む?飲まない?」と自問し続け、「いや。まだやめておこう。」と自答し続け、
気付けば約2年が経っていました。
2009年11月。明治神宮野球大会・大学の部・準決勝。
その試合の実況前に、気合いを入れるべく、いつものごとく、
栄養ドリンクに目をやりました。
すると、ふと、あることに気づいてしまったのです。
栄養ドリンクのパッケージに「使用期限:09年10月」と記されてあったのです…。
これまでいつだって、
実況に臨む際には「ここが勝負だ」と思って取り組んできました。
それが、プロレス班で教わった「最大の教え」だと思っています。
しかし、心のどこかで「これで目標達成ではないだろう?」
と自分に言い聞かせるもう一人の自分もいました。
「限界まで勝負する。でも目標はもっと上にある。」
きっとそうした想いが、入社以来今まで、
自分の歩を前へと進めてきたように思います。
結局栄養ドリンクは、その日に飲みました。
あれだけ気にかけていたのに、随分あっさりと飲みました。
もちろんその日が、勝負であったことに変わりはありませんが…。
さて、新たな年を迎えました。
改めまして、明けましておめでとうございます。
そして、年が明けたということは、
「プロレスの日」が迫ってきたことに他ならないということです。
1月4日・東京ドーム。
プロレス界最大の戦いが、もう、すぐそこまでやってきています。
12月下旬。実況担当試合が発表されました。
「棚橋弘至VS潮崎豪」
新日本プロレスの絶対的なエース棚橋と、
プロレスリングNOAH新時代のエースであり、
三沢光晴の後継者とも呼ばれている潮崎が、
新春の東京ドームで一騎打ち。
プロレス界注目の「両団体エース対決」です。
様々な条件が重なり、なんと、その大一番の実況を任されました。
プロレスの試合を見て、初めて涙を流したのが、
二年前の両国でのメイン、棚橋選手の試合でした。
プロレスの実況で、
初めてプロデューサーに「この試合を喋らせてほしい」と直訴したのが、
半年前の大阪での第6試合、潮崎選手の試合でした。
棚橋VS潮崎。
実況するにあたり、ほんの少しの不安もあります。
それは、私が残してきた実績では、あまりにも少ないと思うからです。
それは、私が積み重ねてきた実力では、到底劣っていると思うからです。
それでも、気持ちはいつもと同じです。
限界まで勝負する。今までもそうでした。
年末もお正月も、気持ちを切らさず「資料整理」
私が限界まで勝負するということは、
すなわち、限界まで準備する、ということでもあると思っています。
「まずは万全の状態で1月4日が迎えられますように…。」
初詣でのお願いは3年連続同じ内容。 |