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10月11日 新人野上「初めての原稿読み行きます!!」

10月5日。早朝1時。起床。
10月5日が始まってすぐに、僕の10月5日も始まりました。
やじうまプラス、スポーツコーナー初担当の日。

「どんなベテランでも‘一回目’はある。しっかり準備をしよう。」
この日を迎えるに当たり、スタッフの皆様が本番前の2日間で、
番組終わりに「シミュレーション」を行ってくれました。
本番と全く同じ状況を想定して、
スタジオで実際に自分が喋ってみる、というものです。
アナウンサーの先輩方だけでなく、
番組スタッフ全員が、「新人である僕のためだけ」に、
本番が終わってからもスタジオに残って協力してくれました。
感謝の気持ちでいっぱいで・・・。そして同時にドキドキもいっぱいで・・・。
それもそのはず。
ご覧ください。この「シミュレーション」メンバー。



やじうまプラスの先輩アナウンサーに囲まれて・・・

何もしてなくても‘すみません’と言ってしまいそうな程・・・。
このメンバー。「1年目」には相当の迫力です。



イケメン男性陣!に仲間入り。

手前から吉野アナ・勝田アナ・川島アナ・新人野上・小松アナ、です。



シミュレーションを終えた瞬間・・・

終わった瞬間、画面にはメッセージが!!番組スタッフからのサプライズ!!
明日は頑張ります!!ありがとうございます・・・(泣)


そして迎えた本番当日。

シミュレーションを通して先輩アナウンサーから僕に課された課題は、
「読むのではなく、伝えること」でした。
「田舎で孫の登場を楽しみにしている‘おばあちゃん’に伝えるように」喋れば良い。
先輩がくれたアドバイスによって、
自分が今まで難しく考えすぎていたことに気付きました。
少し「ふっきれた」自分。

でも・・・
緊張・キンチョー・超緊張。
小松アナが、直前に肩を叩いて「力抜けよ〜」と笑ってくれましたが・・・
ごめんなさい・・・変わらずガチガチ・・・。
本番中、僕の小さな目があちこちに動き回ります。
カメラを向けられると、じっとカメラを見る事が出来ない僕。
「何故目が動く?」自分で自分に聞きたいくらいです。

ところで、番組の中でスポーツコーナーは三度あるのですが、
二度目だけは、「確定」と言って「コーナーの終了時間」が正確に決まっています。
6時21分10秒。この時間がくれば自動的に終了。
それ以上喋りたくてもCMになってしまいますし、予定より早く終わりそうになっても、確定時間までは喋って場をもたせなければならない。
二度目の登場は、三度の中でも最も緊張するのです。
そして迎えた二度目の本番。

「お早うございます。スポーツです。」

この言葉から始まり、反省はたくさんあるものの、
必死にやっているうちに時間はあっという間に過ぎていきます。
しかし、このコーナーの最後に、やはり!予想通り!?やってしまいました・・・。
コーナー最後の話題は「セリーグ制覇できなかった落合監督が、
息子との約束(賭け)を守り、丸刈りにした」という話題でした。
新聞に書かれてあるその事実を伝え終えた後に、
時間がもう少し余っていたので、コメンテーターの吉永さんに話を伺いました

「吉永さん、監督の丸刈り、いかがですか?」

・・・でました!!気合いが入りすぎて質問が思いつかず、
いわゆるかなりの「無茶振り」に。丸刈りいかがですか、と問われても・・・。
質問した後、猛烈に反省しました。

しかし、吉永さんは僕がまだ新人であるということも考慮して、
非常に丁寧に答えてくださいました。

そのお話を受けて、残りは7秒を切ったところ。

さぁ締めくくりに入ろう、と思った瞬間。
コメンテーターの末延さんが、続けて「君の髪型も落合監督に似てるじゃないか!!」と笑顔で、最高の話題を提供してくださいました。
最後の最後でラストパス。
しかも、丸刈り好きな僕にとっては絶妙なパス。これは「オイシイ」!!
答え甲斐がある本当に最高の「フリ」だったのですが・・・。
刻一刻と過ぎていく時間・・・。残り3秒。
もうコーナーを、終わらせなければならない時間。
「どーーーーしよう」ゴール手前で慌てる僕。もう「シュート」しかありません。
シュートコースを決めて、いざシュート。『それ!!』

「個人的には、髪は短い方が格好良いかなぁと思っています。」

早口になりながら、それでも笑顔で言えた僕。

『やった!言えた!』

残り1秒。最後の一言。これが決まれば試合終了。
焦りながらも何とか締めようとした僕が、それに続けて、
満面の笑顔で言った最後の一言。

「以上、スポーツです

あっ!
そう思っても時すでに遅し!!もちろん確定でCMに・・・
なんでよりによって、コーナーの最後で現在形なんだ!
しかもそれを「時間内に言えたーー!!」というような満足感溢れる、
最高の笑顔で言っているのです。
「以上、スポーツでした。」
シミュレーションでは何度も繰り返していたはずなのに・・・

今でも「何故そう言った?」と、自分で自分に聞きたいくらいです。

とは言え、シミュレーションではまともに話せなかった「破綻」という状態はなんとか免れ、「無事!?」終了した「デビュー戦」。
金曜日と土曜日の本番を終えてみて、やはり反省点ばかりです。
指摘もたくさん受けました。
それでも、田舎の祖母は喜んでいました。

「金曜日が待ち遠しい。」

電話越しにそう言った祖母は、僕がアナウンサーに内定した日から、
ずっとこの日を楽しみにしていたそうです。

決して祖母の為だけにスポーツをお伝えしているのではないのですが、
必死に喋っている僕を見て祖母が喜ぶなら、
それはやはり孫としてはとっても嬉しいことだなと、素直に感じた瞬間でした。


加えて、家族や親戚、恩師や友人からも、たくさんメールや連絡がきました。
その全て温かく、その全て力になりました。

初めて番組のスポーツコーナーを担当するに当たり、アナウンサーの先輩はじめ・スタッフ・コメンテーターの皆様に本当に支えられていると強く感じました。
そして、その皆様だけでなく、テレビの向こうで見てくれている、家族や、多くの「仲間」にも同様に支えられていることを改めて実感させられた2日間でした。

忘れてしまいがちなものほど、大切にしたい。
それがきっと本当に大切なこと。
「よーいどん」その瞬間を大切に。
「よーいどん」その瞬間を忘れずに。

このレース、自分らしく走っていければと、そんな風に思っています。

最後に、
番組スタッフによりますと、僕の一生懸命は、
「初々しさ」と「危なっかしさ」を帯びているそうです。
今しか出せないそれら(5年後もそうでしたらさすがに困ります・・・)を
ぜひ一度ご覧ください。
「成功ではなくとも、確かな成長を」少しずつの成長過程を、
視聴者の皆様と共に歩んでいきたいです。
どうぞよろしくお願いいたします。



夏に撮った祖母との一枚
   
 
    
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