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12月10日 日本人初のメジャー内野手誕生で思うこと

 
 西武からFA宣言していた松井稼頭央選手のメジャーリーグ・ニューヨークメッツ移籍が決まりました。「リトル松井」と呼ばれ、早くからメジャーで注目を集めていた松井選手。ヤンキースに入って「W松井」になるんだとか、ドジャース入りで間違いないとか様々な情報が飛び交いました。結局、松井選手の決断はメッツ入りでした。

メッツには、20歳のホセ・レイエスというシュートがいます。「HOT PROSPECT」と呼ばれる、超有望株のプレーヤーです。そのレイエスを押しのけて、松井選手がショートの守備につくという話です。提示された年俸も、待遇も全てが破格の扱いと言えます。2塁にまわるレイエスと松井選手で、「摩天楼の鉄壁二遊間」を形成してくれるでしょう。そして、脅威の1、2番コンビとなるはずです。

ニューヨークへ向かう直前の会見での松井選手は本当にうれしそうでしたよね。このニュースを見ながら、ふと思い出したことがあります。

今から3年前、ニューヨークメッツ対シカゴカブスの日本開幕戦が東京ドームで行なわれました。本場のプレーを生で見られるということで、私はメジャー好きの友人とともに必死になってチケットを購入したのを憶えています。やっと手に入れたプラチナ・チケットを手に、ワクワクしながら東京ドームに向かいました。すると、たまたま我々の隣の席に松井選手と美緒夫人が座っていたのです。挨拶をして周囲を見回すと、様々なプロ選手の姿がありました。「やはりプレーヤー誰もが注目しているんだなぁ・・・」と感じました。

超満員のスタジアムが熱気に包まれる中、ゲームは始まり、ひとつの事件が起きたのです。
当時メッツのショートストップと言えば、華麗かつ堅実な守備で知られるレイ・オルドニエスでした。それまで連続試合無失策を続けていた名手オルドニエスが、我々の目の前でまさかのエラーをしたのです。私も友人も思わず絶句、目がテンになりました。横を向くと、松井選手も全く同じ顔をしていました。まさに、信じられないという表情でした。実は名手オルドニエスの衰えは、あのプレーをきっかけに目立ち始めたのです。と同時に、松井選手は、あの瞬間からメッツのショートを守る自分の姿を思い描いていたんでしょうか?

翌日、西武ドームでストレッチ中の選手たちを取材していると、ニコっと笑いながら松井選手が「珍しいもの見ちゃいましたね」と声を掛けてきました。その表情は、まだ少し興奮気味、その瞳は「メジャーに憧れる野球少年」のようでした。

あれから3年半、大きな夢を実現させた松井選手の活躍が本当に楽しみでたまりません。

   
 
    
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