自分は何をして生きて行ったらいいんだろう…そんなことを考えている時間があったら勉強すれば良いのに、ただボーっと深夜番組を見ていた。浪人中の話である。立川談志の落語が飛び込んできたのはそんな時だった。ひえー面白い!というか何だこの人の感性、表現力。知らなかったけど面白い世界があるぞ!
よし大学に入ったら落語研究会に入ろう、というやや間違った目標ができ、私はようやく勉強するようになったのだった。そんなこんなで卒論まで立川談志である。
アナウンサーになって数年後、縁あって立川談慶さんというお弟子さんの二つ目昇進披露パーティーの司会をつとめた。司会のあいさつで卒論の話をしたら、驚くべきことが起きた。主賓席に座っていた談志師匠が立ち上がって深々と私にむかってお辞儀をしてくれたのだ。満場の拍手。会はこれからなのに私は感動で心が一杯になってしまった。
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