前の記事を読む 次の記事を読む  

トップ > パーソナルトップ > プロフィールトップ > エッセイバックナンバー
 
 
5月17日

10年目の取材メモ 「ブログ」


「今年に入ってなんかおかしいよ・・・もうやだ」

神奈川県平塚市のアパートで5人の遺体が見つかった事件。
岡本利加香さん(19)が綴っていたとされるブログは
この日を最後に更新されなくなった。
利加香さんは、この日、去年10月12日、
母親の岡本千鶴子容疑者(54)に殺害されたとみられている・・・。


「○○と
喧嘩して〜 
仲直りして〜 
笑いまくって〜」

岐阜県中津川市。中学2年生の少女が廃屋で殺害された。
少女が書いていたとされるブログは、書き手も登場人物も実名。
誰と何をしたなど、内容もかなりリアルで、頻繁に更新されている。
この事件では、逮捕された15歳の少年が書いていたとされるブログも
見つかっている。

現場周辺で中学生たちに話を聞いていると、
ブログを書いている人が珍しくないという。
かつてはノートに書かれていた日記が、
いまやインターネット上に書かれるようになっているようだ。

「タダだし、簡単だから」と彼らは言う。
しかし、「誰もが見られる」という、
紙の日記との決定的な違いについては、
それほど意識していないようだ。

逆に、事件のあとそれらのブログを読むと、
「人に読まれてもいい」というよりは、
「読んでほしい」と訴えていたように見えなくもない。

事件の取材では、当事者たち(被害者、加害者・・・)の心のうちに迫ろうと
卒業文集などをさがし、人となりが見える放送を心がけてきた。

ビデオカメラが普及してからは、映像が残るようになった。
運動会や文化祭・・・。
映像は100の言葉より雄弁だ。

そして、ブログ。
ついに、事件直前の当事者たちの内面までもが
時系列で見える時代になってきた。

近所づきあいが希薄になってきている昨今、
現場周辺で内容の濃い話を聞くことが、
特に都市部では難しくなってきていることを実感させられる。

技術革新がもたらしたビデオ映像やブログの登場によって、
取材の手法や事件報道も変わってきている。

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

【取材後記】

私はブログを書いていませんが、
読んでいるブログはいくつかあります。
なかでも注目は「My Life Between Silicon Valley and Japan」
(英語のタイトルですが英文ではありません)
あの「ウェブ進化論」(筑摩書房)の著者、梅田望夫さんのブログです。

インターネットの世界が、どうなっていくのか。
インターネットが、世界をどう変えていくのか。
本当に興味津々です。

入社10年目。
ブログほど更新はしませんが、
取材していて気になったことを記していきます。

   
 
    
前の記事を読む 次の記事を読む  

トップ > パーソナルトップ > プロフィールトップ > エッセイバックナンバー