2018/7/19外国人の名前の発音
突然ですが、下の写真は、私が作成した昨年の世界水泳の実況資料です。

今回は我々実況アナウンサーがいつも直面している問題についてです。
そう、外国人の名前。
2018FIFAワールドカップロシアでは、クロアチアに「~ッチ」が多い、
アイスランドは「~ソン」が多いというのが話題になりましたし、
優勝したフランスで大活躍した19歳が、
「エムバペ」選手なのか「ムバッペ」選手なのか、混乱した方も多かったようです。
「MBAPPE」→「エムバペ」??「ムバッペ」??
どっちも合っている気がする・・・。
我々が中継を行う時は、外国人選手の「カナ表記」を作成します。
実況アナウンサーはその表記を元に選手の名前を言い、テロップもその表記に従います。
ただ、いつも感じていることですが、
そもそも外国人選手の名前を日本語のカナに変換するのは無理があるのです。
例えば、英語で「the」という単語があります。
これを日本語読みにすると「ザ」ですよね?
でも、本当は「ザ」ではないのです。
歯と歯の間に舌の先を挟んで発する音、なわけで、
そんな音は日本語のカナでは存在しません。
つまり、「存在しないなりに日本語の中で最も近い音を当てている」というのが実情です。
名前も同じで、例えばアメリカの大統領は「ドナルド・トランプ」ですが、
正確性を突き詰めていけば、「Donald Trump」でしかない。
つまり日本語にはできないのです。
同じ綴りで読み方が変わることもあります。
「Michael」→「マイケル」この変換はしっくりきますよね?
「Michael」→「ミハエル」これはどうでしょう?
アメリカの大スター「Michael Jackson」は、
マイケル・ジャクソン
ドイツの元F1ドライバー「Michael Schumacher」は、
ミハエル・シューマッハ
英語圏なのかドイツ語圏なのか、その違いで読み方も変わります。
限界まで現地読みに近づけたところで、
100%正解には絶対に至らない外国人の名前ですが、
我々は決められたカナ表記をとにかく正確に発することに集中しています。