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佐々木快
こんにちは!佐々木快です!
先日、何気なく自分のスマートフォンのカメラフォルダを整理していたら、意外にも多かったのがこちら。
早朝、羽田空港に向かう途中の車内から
北海道川上郡/雪で白く染まった田園風景
どれもこれも窓越しの風景。
そう、ロケ車両や飛行機の中から撮影した写真です。
着く前にパシャリ、帰る前にパシャリ、綺麗だな、珍しいなと思ってパシャリ。
そうやって撮った写真は、後から振り返ると「あの時の仕事を鮮明に思い出させてくれるもの」でもあると感じます。
ということで今回は、移動中に撮影した写真を見せていただき、アナウンサーの仕事の1コマを切り取ります。
まずは… …こちらの写真から見ていきましょう!
見せてくれたのは……!
井澤健太朗アナウンサー!
全国を飛び回る日々の中で選ばれた1枚。どんな思い出があるんでしょうか。伺っていきます!
お写真ありがとうございます!この雄大な山は…もしかして?
そうです。富士山です!H3ロケットの打ち上げ取材で種子島に向かう道中、機内から撮影しました。
なかなかお目にかかれない上空からの富士山。貴重な一枚をいただきました!
実はこの写真を撮れたのには“ある理由”があるんです。
お!教えてください!
お仕事の合間に写真を見せてくれました!
この日は早朝からの移動でした。普段は通路側に座り、朝の移動はすぐ寝てしまうのですが、たまたま窓側だったのでぼんやりと外を眺めていました。そうしたら、突然!朝日にほんのり染まった富士山が目に飛び込んできたんです!眠気も吹き飛び、すぐさまカメラを起動したのを覚えています。
写真を近くで見てみると…
突然シャッターチャンスがやってきたんですね!どんなところが気に入っていますか?
富士山が朝日によって柔らかなピンク色に染まっているところです!
また微かに雲もかかっていて幻想的でした。早朝から移動をしたからこそ見られた景色だと思っています。
窓から富士山が見えてきた時はどんな心境になりましたか?
H3ロケットの打ち上げというワクワクする取材で、その取材の始まりの朝に綺麗な富士山が見られたので幸先のいいスタートを切れたと思いました。実際に現地に着いてからも色々な方にたくさんお話を伺えて充実していたのですが……。
取材中
え、その後なにがあったんですか?
翌日、残念ながらH3ロケットは打ちあがりませんでした。
な、なんと……。
種子島宇宙センターに設置されたH3ロケット
皆さん、固唾を飲んで見守っていたので暫くの間、沈黙が流れていました。すると、周囲がザワザワしてきてこれは何かあったのかなと思いました。子どもたちや遠方から来た方もいらっしゃったので、その瞬間はがっくりしていましたが、 皆さん悲観的にならず、次を応援しようとすぐ前向きになっていました!
井澤さんご自身もロケットが飛ぶ瞬間に向けてたくさんの準備をされていたことかと思いますが……。
そうですね。ロケットがどちらの方向に飛んでいくのか、どれくらいのスピードで上がっていくのか、1回しかチャンスはないので、カメラマンと念入りに打ち合わせをしていました。この仕事をしていると、入念に準備をしていた時こそ、予想外のことが起きるなと改めて感じました。
その日のスケジュールは結局どうなったんですか?
結果その日は移動だけとなりましたね。フェリーの時間まで余裕があったので、種子島観光を少しして帰ることとなりました。普段はすぐとんぼ帰りなので、珍しくゆっくりできました。
アニメの聖地を巡礼
種子島の海
井澤さんも含め多くの方がH3ロケットの飛ぶ姿を見たかったことと思いますが……悔しいですね。
新型ロケット打ち上げとはなりませんでしたが、そこに至る技術者の想いや応援する人たちの願い、子供たちの夢を肌で感じました。打ち上げ成功の瞬間を次こそは見届けたいと思います。
種子島宇宙センター
朝日に照らされた富士山の写真を見ると、種子島の風光明媚な景色と出張の思い出も蘇ってくるという井澤アナ。
次のH3ロケットの打ち上げこそ成功してほしいという思いを聞かせていただきました!
続いて、こちらの写真をご覧ください!
見慣れない街並みに、白い建物が目立ちますが……。
見せてくれたのは……!
安藤萌々アナウンサー!
萌々さん!ありがとうございます!早速ですが、どんな写真なのか教えてください!
WBCの仕事を終えて、アメリカから日本に帰国する飛行機の中で撮った一枚です。今大会の開催地、フロリダ州のマイアミを撮りました。真ん中に見える白い屋根のドームが会場となった「ローンデポパーク」です。マイアミの青い海と、空が綺麗に入れられました!
WBC期間は連日の取材、報道ステーション内での中継、本当にお疲れ様でした。
期間中は全力で駆け抜けたことと思いますが、どんな気持ちでこの写真を撮りましたか?
感謝で胸がいっぱいで、ちょっぴり涙を流しながら撮りました。沢山の感動をくれた侍ジャパン、チーム関係者への感謝。歴史的瞬間を現地からお伝えできたことへの感謝。どんな状況でも支えてくれるスタッフへの感謝。WBCに向けても、沢山の現場取材に行かせてもらい、沢山の話し合いを重ねました。どんなハプニングが起きても常に笑顔で助けてくださる松坂大輔さんへの感謝。予測不能なことが多く起きる試合後の中継に向けて沢山のアドバイスをくれた清水アナをはじめとする先輩方への感謝。書ききれないほどの思いで、胸がいっぱいでした。小さくなっていくローンデポパークを見て、大会が終わったのだという寂しさもありました。
ドタバタピンチもありましたが、大好きなチームとなら元気100倍です!
涙を流しながら撮った写真とは知りませんでした……。萌々さんの想いが伝わってきます。
世紀に残るような感動のドラマが生まれた現地にいて、どんなことを感じましたか?
スポーツを通して、こんなにも色んな人が繋がれるんだ。同じ想いを共有できるんだ!ということを感じました。今、振り返ると夢の中にいたようです。
みんなが夢中になり、熱狂し、感動を分かちあう。今回のWBCを経て、私もスポーツの力の凄さを感じました。
夢の中と表現されるくらいですから、エピソードは一つに絞れないかもしれませんが、印象に残っている出来事を教えてください。
特に印象に残っているのは、準決勝メキシコ戦後、栗山英樹監督の記者会見です。私が聞きたかったのは、最後まで村上宗隆選手を信じた栗山監督の思いでした。ただ、手を挙げてもなかなか当てて貰えず。
目一杯、腕を伸ばして司会の人にアピール……。すると、ラストクエスチョンで当てて貰う事に成功!
ディレクターさんと「よっしゃ!」と小さくガッツポーズをし、話し合った一問を伺いました。
返ってきた栗山監督の想いは皆さんご存じかと思います。栗山監督の目には光るものがあり、その目に真っすぐ
見られながら思いを聞いて、私も涙が出ました。強い気持ちにぶつけられたような、そんな感覚でした。
栗山監督の「最後はお前で勝つんだ」という力強い言葉を思い出します。
あの会見は何度見返しても胸が熱くなりますが、萌々さんからお話しを聞いて再び感動が蘇ってきました。
そして、萌々さんは、今年の4月からは報道ステーションのキャスターとして活躍されています。WBC期間での 経験は、今の 仕事にはどんな形で繋がっていますか?
準決勝後の栗山監督の会見映像が流れたオンエアの後、SNSに沢山の「私も気になっていました。聞いてくれてありがとう」という旨のコメントをいただきました。現場で起きていることと、見てくださっている方々を少しでも繋ぐことができたのかな……と思い、とてもとても嬉しかったです。この経験からどんなニュース、どんな現場も、常に色んな視点を意識して、見ている方と共有する気持ちを大切にしたいと思いました。
日々の放送はもちろん、5月7日(日)放送の『緊急特報!侍ジャパンWBC世界一の熱狂!』でも栗山監督から素敵なお話を伺えるよう頑張ります!https://post.tv-asahi.co.jp/post-216333/
5月7日ですね!早く放送が見たいです!楽しみにしています!
続きまして、こちら!
美しい青い海に浮かぶ島々… …思わず息を飲む絶景です。
見せてくれたのはこの方です!
山口豊アナウンサー!
山口さん!お写真ありがとうございます!すごく綺麗な 写真ですね!
美しい島々の光景に思わず小型機の機内から撮りました。こちらは気候変動の取材で、2015年の11月、太平洋の島々が連なるマーシャル諸島のキリ島に向かう途中で撮った一枚です。「真珠の首飾り」とも呼ばれるマーシャル諸島の美しさを感じた一方で、こうした小さな島の住民がどんな被害を受けているのか、とても気になりました。写真で見ても、海面上昇の被害を受けやすい状にあることが一目でわかります。
実際に現地に足を運んでみていかがでしたか?
キリ島という孤島に1週間ほど滞在し取材しました。島では海面上昇の影響で大波が護岸を打ち砕き、海水が島内に侵入してきてしまっていました。この写真からもヤシの木が陸側に根こそぎ倒されている様子が分かりますよね。大潮の際には島内が水浸しになってしまうそうです。
海面上昇の被害現場を歩く
海面上昇で水没が進む島
海面上昇の影響でこれだけの被害が出ているとは知りませんでした……。
詳しく、キリ島での出来事を教えてください。
温暖化の被害が年々激しさを増す状況に、島民たちは島を出て国外に移住することを余技なくされていました。
取材の最後に島の若者から言われた言葉が今も忘れられません。
「この島でこんな災害が起きていることを、みなさんはどう感じますか?私たちがどうしたらいいか、みなさんに考えてもらいたい……。」
我々が経済発展を遂げる過程で排出する温室効果ガスがこうした南の島の住民の生活を脅かしていることを、あらためて強く認識しました。
島の若者と
“私たちがどうしたらいいか”という言葉の裏には、私たちだけではどうにもできないという助けを求める悲鳴にも感じます。普段、何気なく使ってしまっているエネルギーに無駄がないか、日本に住む私自身の生活も考え直さなければいけないと思いました。山口さんにとってこの言葉は、今のお仕事にどう繋がっていますか?
私は今、CO2を排出しないクリーンエネルギーである、再生可能エネルギーの導入現場の取材を続けていますが、マーシャル諸島で若者から言われたこの時の言葉が気候変動対策の取材を続ける上で、とても大きなモチベーションになっています。
最近
3月に発表されたIPCC(気候変動に関する政府間パネル)第6次統合報告書でも「温暖化が人間活動によることは疑いの余地がない」と断定されました。また、再エネや省エネなど既存の技術をつかうことの有用性や、この10年の選択と行動が、数千年にわたり影響を及ぼすことなどが指摘されました。今回、当時の写真をあらためて見て、気候変動対策の取材を続ける大切さを強く感じました。
数百年、数千年先の未来が、私たちが今こうして生きている10年間で変わってしまうかもしれない。
ハッとさせられます。最初に見せていただいた上空からのマーシャル諸島の見え方が、お話しを伺い終えて変わりました。貴重なお写真、お話、本当にありがとうございました!
移動中にとった一枚に隠された秘話、いかがだったでしょうか?
今回、お三方に共通で聞いた質問があります。
それは「改めて、移動中の窓から撮った写真を見て、今どんなことを感じますか?」という質問です。
それぞれ、答えは様々でしたが、揃って未来への想いを聞かせていただきました。
皆さんもカメラフォルダに眠っている移動中の一枚を見てみると、明日への活力が生まれてくるかもしれません。
私も、今一度、カメラフォルダを遡ってみます。最後までご覧いただき、ありがとうございました!