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2022/06/29 アナウンサーに聞く!忘れられない、あの仕事。

先日コロナ禍での就職活動について、就活生に街頭インタビューをしていると……

「コロナ禍でリモート面接になってしまい、なかなか実際に企業で働く人の話を聞く機会が少ない」

こんな声がきかれました。

今月6月1日
2023年度に卒業する学生の就職活動は
本格的に解禁され、
各企業で面接など、選考が続々と行われています

そこで!!
今回は就活生や
これから就職を考える学生の皆さんに
「アナウンサー」という仕事について
少しでも知ってもらいたいという思いから

2人の現役アナウンサーに
“リアル”な実体験を交えながら
話を聞いていきます!!

まずは……!!!

現在「報道ステーション」のフィールドリポーターを担当する
井澤健太朗 アナウンサー!!


全国各地の現場で中継・取材している井澤アナ


ヘリコプター中継の様子

今までで一番印象に残っている仕事とその理由をききました。

特に印象に残っている、忘れられない仕事は?


井澤アナ

2019年の香港のデモです。主催者発表で200万人が参加したというデモを取材しました。
中心部のあらゆる道路が、写真の様に埋め尽くされていました。

SNSや署名などで何万という声が集まることがありますが、
実際に集まる人の姿を見て、より強い想いや怒りを感じました。
「香港加油(がんばれ)」という地響きのような大合唱で、肌が震えたのは忘れられません。

近年日本でこれだけの大規模なデモは
見たことがありません……!!

1つの場所にこれだけの多くの国民が集まる。
国民の訴えかける「気持ちの強さ」が
この写真からもひしひしと伝わってきますね。

このような歴史的瞬間を捉えたり、
現場でしかわからない情報や声を拾うために
全国各地を飛び回る現場リポーター

井澤アナが仕事に向き合う上で、大切にしていることは……?


井澤アナ

今は主に「報道ステーション」のリポーターを担当しているので、取材業務にあたることが多いです。
その時は「取材をさせて頂いている」という大前提を持つこと心掛けています。
取材で多くの方と出会うことが出来たので、そうした繋がりを大切にしています。

取材相手が時間を割いて協力してくれるからこそ、
伝えることができる、仕事ができる……。

どんな相手にも「感謝の気持ち」を持って
仕事をする井澤アナだからこそ、
自然と
人と人とのよい繋がりが
生まれていくのかもしれません。

一番やりがいや、達成感を感じるのはどんな時ですか?


井澤アナ

生中継や生放送を終えた時の達成感は大きいです!
リポーターとして中継をするときは、1日ないしは数日かけて取材をしたものを、1,2分にまとめて喋ります。
反省点を上げたらきりがないことが多いのですが、伝えたいことを伝えられた時にやりがいを感じます。
また生中継中のトラブルを乗り切った時に、スタッフやカメラマンと安堵の気持ちを分かち合うのも楽しみのひとつです。


知床遊覧船事故の取材・中継を担当

「伝えたいことを伝えられた時にやりがいを感じる。」
その裏側には、
中継で話す言葉に
1日ないしは数日かけて取材して聞いた
様々な人の「意見」や「想い」が詰まっているからなんですね。

さて、反省という言葉が出てきましたが、
実は井澤アナ
取材が終わった後に必ず書くノートがあるそうです……!!

どんなことを書き留めているんでしょうか……?!


井澤アナ

これはそういった反省点などを殴り書きにしているので……。
中を見せるのだけは勘弁してください。(笑)

通りかかった佐々木亮太アナウンサーも……!

取材ノートを見たい様子……!!!

皆が興味津々の井澤アナ取材ノート。


井澤アナ

見返してみると文字が汚いこともあって、昨年末からスマホのアプリでまとめるようにしました!
反省点や取材させていただいた方のこと、またその時感じたことも書いてあって恥ずかしいです。(笑)
ただ継続取材につながることもあり、その時は役立ったと思います!

ノートを少しだけ垣間見させてもらいましたが、
まったく汚くない……!!!です!

リポーターは毎日様々なジャンルの現場にいく上に、
新たな発見や刺激も多い仕事。
記憶が薄れていく前に、反省点や感じたことをすぐに書き留めておくことが大切なのかもしれません。

私も今日から
よりフレッシュな感覚をメモするためにも、
どこでも書けるスマートフォンのメモもうまく活用していこうと思います!

入社6年目の井澤アナ
最後に

アナウンサーの仕事の魅力についてききました!


井澤アナ

アナウンサーといっても色々な働き方、業務があります。
今の僕の仕事は毎日どこに行くか分からないような仕事です。
色んな仕事を担当したり、経験できたりするのもアナウンサー冥利かなと思います!


続いては……!!!

現在「大下容子ワイド!スクランブル」のコーナーや
「マツコ&有吉 かりそめ天国」を担当する
久保田直子 アナウンサー!!

バラエティー・情報報道・司会・ナレーション・スポーツ……
様々なジャンルで活躍する久保田アナ

今までで一番印象に残っている仕事とその理由をききます!

特に印象に残っている、忘れられない仕事は?


久保田アナ

う~ん……沢山あって書ききれないですが……。リオデジャネイロ五輪と東京五輪の2大会は欠かせません!現場で体感したシビれるような感動を、自分の言葉で伝えられた経験は私にとって宝物です。


東京五輪2020 松岡修造さんと!
リオ、東京とご一緒させていただいた松岡修造さん。
お会いすると生きるエネルギーがわき、
私も、いつだって全力!本気!でありたいなと思います。

実は、入社当時はスポーツ番組志望だったのですが、10年以上スポーツから離れていました。その間担当させてもらった様々な仕事に没頭し、その都度好きになっていったら、音楽・料理・情報報道・バラエティ・イベント司会にナレーション……まぁ~ありとあらゆるジャンルを経験させてもらうことができたんです。その後、巡り巡って五輪を担当できた時は感無量!
その際あらゆる場面で、「あ、あの仕事で学んだことが今いきている!」と感じることができました。ジャンルは違ってもこれまで経験してきた事全てが積み重なって、自分を支えてくれたんです。
若い時は、希望をすぐに叶えたいけれど思い通りにいかなくて……焦ったり、誰かを羨ましく感じたり。でも今は、全ての事に意味があるんだなと感じています。
当初希望した最短ルートを歩まなかったからこそ見せてもらえた景色です!

「アナウンサー」という職業の中でも、
色々な役割があり、
それぞれ違うアナウンス技術が求められることもあります。
しかし
何一つ無駄な経験はない
ということを改めて、久保田アナの実体験が教えてくれます。


久保田アナ

長くなってしまうのですがこれも言いたい!
やはり「マツコ&有吉 かりそめ天国」は今の私にとって欠かせない軸となる番組。


かりそめ天国のスタジオセットにて

先輩の背中が大きくて遠いんです・・と話す私に、
有吉さん「背中を追いかけてるから遠いんだよ。独自の道を行けよ、汚い畦道で良いんだよ。」
マツコさん「舗装された道なんて期待してないんだから!」
最大のエールをいただきました。いつだって私の中心にある言葉です。

そしてこちらの写真は、番組内でそれぞれ半年以上プロの指導の元で修行した
“麺&ピザ企画”

上手くいかず追い込まれた時もあったけど、ゼロから成長する過程は最高に楽しかったです!

当時久保田アナはアナウンス部でも
練習用のゴム製の生地を使って、繰り返しピザ回しの練習していました!!
あまりの本格的な腕裁きに感動したのを思い出します。

マツコさんや有吉さんからのエールの通り、
誰も挑戦したことがない仕事にも、果敢に取り組む久保田アナ

仕事に向き合う上で、大切にしていることは?


久保田アナ

主語を“I ”にしすぎない!ですかね。
どうしても自分自分!と出しがちなので、その場の“We”=“皆さん、全体”を主語にしたいと思っています。

また現場ごとに携わる人は毎回違って、その瞬間そのメンバーでしか生まれないものがあります。ご一緒する人たちが(もちろん自分も!)最大限に“WIN,WIN,WIN”であること!充実した楽しい場になると心の底から嬉しくなります。それが、見てくださっている皆さんにも伝わるはず!
すみません、慣れない英語使いました……。』

ありとあらゆる場面での「良い雰囲気づくり」も
アナウンサーの役割の1つ。
久保田さんが大切にする「みんな、全体」への意識が、
相手も、自分も、みんなにとってハッピーな好循環を生みだすのだと感じました。
WIN,WIN,WIN!

そして久保田アナにも聞きたい、普段使っているノート。
いつも可愛らしいノートを持ち歩いているイメージがありますが、どうでしょうか……!?

歴代のノート達をずらっと見せてくれました……!!!

どんなことを書き込んでいる?


久保田アナ

仕事で気付いた事などを書いていますよ。周りの方からいただいた言葉や、出会った言葉もメモメモ。すぐに携帯にメモし、カフェでじっくりノートに書き写すことも。書かないとすぐ忘れちゃうので……。
その時いちばんテンションがあがるノートを選んでいて、今は右手前の黒いノート!今回読み返してみて、年々自分に甘くなっていることに気づきました(笑)若い頃はほぼ反省点しか書かれていなかったのが、「これができた、私エライ!」ですとか
「次の仕事を今度はこんな風にやりたい!」という前向きなものに変わっていました。自分で自分をヨシヨシと励まし、前を向かせてくれるノートです。


ピザ&麺の練習ノート

反省点や改善点だけではなく、
改善のための方法まで具体的に書き込んであります!
「できなかったこと」だけでなく、「できたこと」を書く事で、
ステップアップを実感したり
次に向けたモチベーションにも繋がりますね!!

就活生、学生の皆さんにむけてアドバイスをお願いします!!


久保田アナ

このノートおすすめです。書き始めたのは就職活動中から。
面接に向けて何を書き話せばいいのかわからなくなっていた時、元テレビ朝日アナウンサー富川悠太さんからアドバイスをもらいました。
「自分の事は意外と自分が一番知らない。経験したこと、その際感じたことを毎日少しずつ記していけば、エントリーシートを書く時に役立つ、自分がどんな人間なのかが詰まっている“自分解説書”ができあがるよ」
これを続けていくうちにエントリーシートを書かなきゃいけない……から、今回はどう書こうかな?と前向きに楽しめるようになったんです。

あとは、学生だからこそできることを味わいし尽してもらいたい!就活に集中するのも必要ですが、自分の毎日を楽しもうとしている人が、どこにいっても眩しくうつるんじゃないかな。

同じテレビ局の同じアナウンス部でも
全く違うジャンルの仕事をする2人ですが、

一方で
ノートに日々の感じたことを書き込んだり、
全ての経験や反省から学んだことを、次に生かそうとする
仕事に対する真摯な姿勢は同じ。

アナウンサーという職業に限らず、
どんな仕事をする上でも共通する
大切なことを沢山教えてもらいました。

「仕事」という言葉の意味を辞書で引くと。

まず始めにでてくるのは「する事。しなくてはならない事。」


広辞苑第七版より

では、しなくてはならないのは何故かと考えると、
「生活するため」
つまり、生きていくためということが大きな要素かもしれませんが、
他にも、「社会貢献のため」、「人や社会と繋がるため」、「自己実現のため」など、
仕事をする目的やモチベーションは様々あります。

これから社会に出て仕事に就く、就活生や学生の皆さんにも

“仕事をやらされる“という意識ではなく
どれ一つとして無駄な経験はないという思いで前向きに、
相手への感謝の気持ちを忘れず
色んな挑戦をしていってほしい、

そして私自身もそうありたいと、
心から思います。