担当者
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- Reported by
下村彩里
ある日アナウンス部の公式パーソナルブログをみていると……。
先輩のブログにはたくさんの「取材後記」が!!
テレビ朝日アナウンサーズ 小木アナのパーソナルBlogより
ニュースの現場で取材、中継などを担当する「リポーター」。
実は私も今年春から現場取材の担当になり、
“新人リポーター“としてまた新たな気持ちで走り出したばかり。
試行錯誤の毎日です。
“リポーターの仕事の裏側をもっと見たい知りたい!“
そこで今回は
桝田アナ、草薙アナ、小木アナ
様々な番組でリポーターを経験する
3人のアナウンサーに話をきき
リポーターの“裏側“に迫ります!!
現在「スーパーJチャンネル」や「サタデーステーション」などを担当
スタジオだけでなく、スポーツや報道のリポーターとして現場も駆け巡る
桝田沙也香 アナウンサー!!
そんな桝田アナが
現場に入る前や後に“必ず”行うことは?
先方とたくさんコミュニケーションをとります!
挨拶をして打ち合わせをして、その延長でずっとおしゃべり。
色々な現場に行けるので、単純にその分野のプロフェッショナルにお話を伺うことがとても楽しいのですよね。日々勉強、発見の連続です。
その話の中ででてきた“驚き”や“納得”をリポートに盛り込んだり、
インタビューで改めて質問をします。
良い作品を作って視聴者に届けたい、それが原動力となっています。
取材の集大成 紅葉中継
桝田アナがコミュニケーションを大切にすることは、
取材相手の方の緊張を和らげるなど
いい雰囲気づくりにも
つながっているんだろうな……と感じます。
一方現場では時間に追われることも……!
ディレクター無しでのロケもしばしば。
1日に、2~3か所取材現場に行くことが多いので、その日はバタバタです。
先方に挨拶をし、趣旨を説明、自分もインタビューやリポートも撮りつつ、カメラマンに欲しい画などを伝える。
時間も限られている中なので、なるべく追撮がないよう、
慎重に且つスピーディーに取材を進めないといけません。
ディレクターがいる日は、先方とのやり取りや、カメラマンとのコミュニケーションをいつも傍で聞いて参加しています。
ディレクターが居なくてもその役割を担えるように、常日頃から意識して、もう一人でも大丈夫……と、克服しました!
現場で自分の役割以外の仕事も
よく観察し、吸収し、身に着けてきたんですね!!
さらに私からこんな質問……!
女性リポーターならではの試行錯誤はありますか?
現場は、衣装も髪も自前です。
ロケ用の衣装を自分で買いそろえるのはなかなか大変ですね……。
外でロケをすると汗でメイクがヨレてしまったり、髪の毛もボサボサに。
でも、自分の身だしなみを気にしている暇なんてないので、
なるべく早起きてしっかりと準備するように心掛けています。
この日は朝4時に起きてメイク・ヘアセット!
現場で“目の前の仕事に集中する”ためにも大切なことですね!!
身だしなみを出発前に万全にしておくなど、
私も徹底します!
入社2年目からリポーターを担当してきた桝田アナですが、
仕事で嬉しいと感じる瞬間はありますか……?
VTRに出てくる街頭インタビューは、実は、かなり時間がかかっています。
こんなオン(=取材相手の方のコメント)があればいいなと、想定して街の方に声をかけるのですが、
条件に合う方を探し、尚且つカメラで撮らせていただけるとなると、かなり限られてきます。
1時間半くらい、ひたすら声をかけることもしばしば。
先日、なかなか条件に合う方がいらっしゃらなくて、100人くらいに声を掛け、ようやく拾えたオン。
その日の1日の歩数計は2万歩近く。
私は無我夢中でやっていたのですが、
「もう何年もやってきたけど、こんなに声をかけるアナウンサー初めて見た」と、
ベテランカメラマンに言ってもらえたことがとても嬉しかったです。
自分の頑張りを認めてもらえた、そんな一言で救われました。
ふと、取材帰りの私の携帯の万歩計をみると、7000歩。
まずはもっと“自分の足を動かす”ことから
始めなければいけないな、と反省です。
様々な 気配りや工夫を怠らない桝田アナ。
普段はみえない仕事の裏側を垣間見る事ができました。
続いては……!
現在「グッド!モーニング」や「サンデーLIVE!!」などを担当
スポーツ・報道情報の両ジャンルで現場を駆け巡る
草薙 和輝アナウンサー!!
そんな草薙アナが
現場に“必ず”持っていくものは?
取材の際、必ず持っていくものは2つあります!
まず、1つ目は、モバイルバッテリーです。
現場では、情報を調べたり、地図を見たりと、電話としての機能はもちろんですが、
スマートフォンが取材において、非常に便利なツールです。
しかし、そのスマートフォンの充電がなくなってしまったら、何もできません。
それを防ぐために必要なのが、モバイルバッテリーです!
電池切れを心配することなく、思う存分スマートフォンを使うことができます!
そして2つ目は、レインジャケット。
理由は単純明快!
取材中、いつ雨が降り出すか分からないからです!
急に強い雨が降っても、サッと一枚羽織れば、すぐにリポートできます。笑
寒さ対策にもなりますしね!
災害現場にも駆け付けるなど、
どんな所にも飛び込むリポーター。
いつでも対応できるよう、常に持ち歩くことが大切だそうです。
(下村はこの言葉を聞いて、翌日すぐにモバイルバッテリーを購入しました。)
一方こんな葛藤も……。
リポーターを担当し始めたころ、悩んだことは、
自分が現場で感じたことが、視聴者に正しく伝わっているか不安になったことです。
そして、入社8年目になった今でも、現場で感じたことを言葉にする際は、
「この表現でよいのか?はたまた自分の感覚は正しいのか?」
常に一度立ち止まり、共に取材をするディレクターにも意見を求めた上で、リポートや取材をしています。
独りよがりになることがないよう、客観的な意見をもらうよう心掛けています。
そして、放送後はできるだけ、スタッフやリポーター経験のある方から取材VTRの感想を聞くようにしています。
多くの意見を吸収することで、表現や感覚を自分なりに磨くようにしています。
また昨年から
新型コロナの影響で、取材の方法も大きく変わりました。
感染対策のため、現場にいけないこともしばしば。
コロナ禍ならではの試行錯誤はありますか?
これも2つありますね……。
どちらも仕方のないことですが、
リモート取材で、パソコンなどでテレビ通話でお話を聞く時、
直接、対面していない分、取材相手の細かな表情やトーンを汲み取ることがなかなかできません。
画面上での取材は、取材相手の機微に触れながら、寄り添ってお話を伺うのが何とも難しい……と感じています。
「テレビ朝日屋上にてリモート取材」
あとはソーシャルディスタンスによる難しさ。
街の人にインタビューをする際、
長い棒にくくりつけたマイクを使って、インタビューをするのですが、
距離がある分、相手の声が聞こえづらいことも……。
とにかく全神経を耳に集中させています!
ソーシャルディスタンス マイク
テレビ画面上には、マイクしか映っていないことが多いですが、
こんなにも長い棒をもってインタビューしていたんですね!
さてリポーターとしても約6年の経験がある草薙アナ。
仕事をしていて“嬉しい”と感じる瞬間は……?
これはもうベタかもしれませんが・・・、
一番嬉しいことは、視聴者の方に、
「いつもテレビで見てるよ!頑張ってね!」
と、取材中に声を掛けていただけることです!
これは外の現場に出て、直接、色々な人とお話しする機会があるからこそだと思っています!
そうした声は私にとって、もちろん励みになりますし、
番組スタッフ一丸となって、作り上げている日々の放送が、
視聴者の方にきちんと伝わっているのだと実感することができます。
嬉しい思いと同時に、気の引き締まる瞬間でもあります。
草薙アナは現在行われている「東京五輪のリポーター」としても活躍中です!!
今日もスポーツ、報道・情報と垣根を越えて取材しています!
最後にお話を聞いたのは……!
現在「報道ステーション」や「サンデーステーション」のメインキャスターを担当。
過去には
「ワイド!スクランブル」や「スーパーJチャンネル」などで
リポーターとしても
ありとあらゆる現場取材を担当してきた
小木逸平アナウンサー!!
約8年間現場での経験がある小木アナに
根掘り葉掘り
当時の話を聞いてみると……!
長い時間をかけてつかんだ「コツ」があるようです。
断られて当たり前。なんですけど、断られ続ける日々を重ねると心が折れそうになるんですよね。こんなことを聞きたいな、こんな答えが引き出せたら、と色々想定に想定を重ねたのに、取りつく島もなくシャットアウトってなると結構ショックだったりします。だから私は事前に色々想定するのをやめました。やめるって結構難しいんですけどね。始まってから頭をぐるぐる回転させてコミュニケーションを状況に合わせてとるようにしました。自分の都合に相手を付き合わせないので自然にお話ができるし、自分の心の健康上もいいという一石二鳥なんですけど、ここまでには時間がかかりましたねえ。
頭をからっぽにして
頭を空っぽに?!
いつも想定をたくさんして、
始まる前から頭をフル回転させていた
私にとって
衝撃的な言葉でした。
「頭をからっぽにする」について聞くと……。
どんなコメントが欲しいかすべて分かったうえで、
人に話をきく直前に1度すべて忘れる術というのかな……。
と教えてくれました。
そもそも質問のピントがずれてしまえば、
話が脱線してしまうだけ。
この術を最初から使うのは難しいのかもしれませんが、
徐々に徐々に、
「頭を空っぽにする」
この感覚をつかんでいきたいです……!
リポーターを担当する前と後で変化したことは?
前と後で変化したのは…体重ですね(笑)急にくだらない話ですんません。
でも本当に次にご飯が食べられるのがいつになるのか分からないので、食べられるときに詰め込むようになっちゃったんですよね。スタジオで司会しているのに比べて
よく歩いているし、体もよく動かしているのにどんどん太っていく不思議。
出張も多かったし、その土地の美味しいものは絶対食べて帰る!と食への執着が
異常に高かったなあ。ここは若手は真似しないほうがいいですかね。
食べちゃうんだよなー
ちなみに
今スタジオでは小木アナの“食リポ”はなかなか見られませんが、
新人研修では“食リポ“の講師も担当するほど!
美味しくご飯を食べている姿が想像できます!
最後に、長年現場で取材を務めてきた小木アナに聞きます、
リポーターとして一番大切だと思うことは?
若かりし頃、インタビューが取れずに舌打ちする者、苛立ちを言葉にする者
を目撃して心から恥ずかしく思いましたね。こういうのは誰かが必ず見ているものです。
私の場合、事件取材が多かったので、機微に触れるものですし、断られて当たり前、貴重な時間を割いて頂いていることを常に意識することが大切だと思っていました。
大切な言葉は「すみません」「ありがとうございます」ですね。
若かりし頃
先輩たちが日々の取材から“感じたこと”“考えたこと”は
どれも刺激的なものでした。
そして話をきいていて改めて感じたのは、
テレビは
取材に協力してくれる人がいるからこそ、
「伝えられる」ということ。
だからこそ
どんなに時間がかかっても、現場でしか聞けない声に耳を傾け、
どんなに一瞬でもその現場の空気をとらえて
丁寧に伝えていきたいと感じました。