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ストーリー
第21話

『私刑』 (2004年3月10日放送)
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 死刑判決を受けながら脱獄していた薫の友人で、“平成の切り裂きジャック”こと浅倉が、ホームレスとなっているところを拘束された。騒ぎを聞きつけた薫は浅倉と対面するが、まるで薫のことなど記憶にない。心因性の記憶喪失では仕方がない。自らが犯した過去の罪もすべて忘れてしまった浅倉に、薫はやり場のない怒りを抱え込む。
 最高検察庁次長検事の千登勢は、浅倉に対して1日も早い刑の執行をと画策するが、肝心の瀬戸内法務大臣が死刑執行命令にサインしようとしない。苛立つ千登勢は瀬戸内に直談判するが…。
 薫は千登勢の部下で法務省刑事局刑事課長の紘子に間に入ってもらい、なんとか浅倉との面会にこぎつける。が、やはり記憶は戻っておらず、断片的に母親を殺した記憶が顔を覗かすだけ。紘子は右京からの受け売りで提案してきた薫の話を参考に、思い切って催眠療法を試してみることにする。
 その催眠療法の1回目が行われる日の朝、浅倉が自殺体で発見された。紘子は拘置所の刑務主任・中津から、部下の刑務官たちから浅倉が殺されそうになるVTRを見せられる。浅倉が脱獄するときに刑務官を殺したことを根に持っていたらしい。自殺の原因はそんな拘置所の状況にあったのかも。紘子はVTRを千登勢に見せて相談。マスコミへの露出を気にしながら、刑務官たちの処分を検討し始める。
 薫は浅倉が自殺した独房を映したビデオ映像を、拘置所が提出を拒んでいることを聞き出す。何か知られたらまずいことでもあるのか。右京と薫は紘子と会い、ビデオについて質問するが、刑務主任が刑務官らの暴行ビデオを抜き取った際、代わりのテープを入れ忘れたため、肝心のテープがないのだという。テープがない理由はそれでわかった。ならばモニターをリアルタイムで見ていた刑務官は、浅倉の不穏な動きになんら反応しなかったのか。モニターをチェックし駆けつけていれば、自殺も失敗したかもしれないのに。何も答えられない紘子を目の当たりにし、薫も右京と同じ疑念を抱く。浅倉は自殺ではなく、何者かに殺された…!?
 さっそく捜査に乗り出した右京と薫は、拘置所にいる田端。浅倉が死んだと思われる時刻に火災報知器が誤作動していたことを聞き出す。さらに当日の刑務官たちに状況を聞くと、彼らの上司である中津に監視室をカラにしてでも全員で原因を究明せよ、と指示されたという。その間に浅倉が自殺して…。テープを入れ忘れたのが中津なら、原因究明を指示したのも中津。さすがに右京らは中津に不審を抱く。
 右京らは千登勢に浅倉殺害説を直訴、千登勢も独自の調査を約束する。が、千登勢は浅倉が刑務官らに暴行されているビデオを公表。逆に浅倉自殺の印象を強くしてしまう。
 仮に中津が浅倉を殺したとしたら動機は何か。右京らは浅倉が殺害したとされる刑務官殺しの事件に疑問を抱き再捜査を。その結果、やはり中津が事件に絡んでいたことが判明する。右京と薫は思い切って数々の事実を中津に突きつけるが、中津は躍起になって否定。しかし、その中津が死体となって発見された。状況から自殺と断定されるが、残された携帯電話を調べると最後にかけた相手はなんと千登勢で…。
 右京らから中津との関係を追及され、最初はかわした千登勢だったが、右京が「実は遺書が中津の胃の中から発見された」と嘘を。瞬間、事件の真相を紘子に知られ、脅されていたことなどを思い出した千登勢はあっさり中津を使って浅倉を殺したことを自供する。
「すべては憎しみではない。殺人犯として捕まった彼が不憫だったから」。
 動機を説明した千登勢は、普段と変わりない堂々とした様子で右京と薫とともに警視庁へと向った。


最高検察庁次長検事皆川千登勢 /岸田今日子
法務大臣瀬戸内米蔵 /津川雅彦
法務省刑事局刑事課長永井紘子 /国生さゆり
未決拘留者田端甲子男 /泉谷しげる
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