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ストーリー
第10話

『殺意あり』 (2003年12月17日放送)
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 とある個人経営の外科病院で手術中に患者が死亡するという騒動が起きた。執刀医の手術ミスという噂も聞かれたが、死んだのは執刀した青木周作医師(鶴見辰吾)の実の父・征十郎(梅野泰靖)。これでは訴訟にもならず事件にはなりそうにないが、なぜか右京(水谷豊)は興味を示す…。

 周作を取材しようとして断られた美和子(鈴木砂羽)のもとに、周作の病院に勤める外科医・小林(坂上忍)から電話が入る。小林は迷った挙句、征十郎の死は周作による手術ミスが原因だと言い切る。小林によると征十郎の死因は、周作が動脈を傷つけたことによる出血多量。小林のフォローも間に合わなかったという。なぜ今さら、という右京らの問いに小林は、過去に2度も医療事故を起している周作は医師免許を返上すべきだ、という。

 美和子とともに取材記者を装い、小林からそんな話を聞いた右京と薫(寺脇康文)だったが、右京は「もし自分が患者なら過去に2度もミスを犯した医師に手術など頼むだろうか」と疑問を口にする。征十郎はなぜ腕がいいと評判の小林に執刀を頼まなかったのか。そんな疑問を直接小林に聞くと、本来は小林が担当だったのだが、手術を始めると同時にめまいに襲われ倒れてしまったという。そこで周作が急遽代理で執刀することになったのだが…。小林は痛恨のきわみと嘆く。

 が、そんな疑惑が渦巻く中、当の周作は院長におさまると不遜な態度を取り続ける。今回の手術に関しても「どんな簡単なオペでも常に死と隣り合わせ」と言い放ち、責任など感じている様子すら見えない…。

 周作が先物相場に手を出し、多額の借金を作っていたことがわかった。周作の父・征十郎はかなりの資産家。死ねば借金を返せるだけの資産が周作に飛び込んでくるはずだ。

 確信を抱いた右京らは、改めて小林にめまいの原因は何だったのかを聞きに行く。すると小林は以前、周作と征十郎が財産のことでもめているところを目撃したという。そして征十郎は周作のために遺産など残さないと言っていたとも。これで動機がはっきりしたが、だめ押しするかのように小林は手術前、周作に呼ばれてコーヒーを飲んでいたことも判明。小林のめまいはそのコーヒーにもられた薬か何かが原因だったのではないか。ということは、周作の行為はミスではなく意図的な殺人だった!?

 右京らはなんとかその事実を裏付ける証拠を探そうとする。あらためて周作のもとを訪ねるが、人を食ったような態度ではぐらかされてしまう。それでも右京と薫はコーヒーが怪しいと踏むが、証拠がなければ手も足も出ない…。何とかして手がかりを探そうとする右京はある書類を入手することに成功し、コーヒーが怪しいことは怪しいが、それを飲んだのは小林ではなく周作の方ではないかと推理する。

 武蔵野青木外科医院に向かった右京と薫は屋上で看護婦の恭子(林美穂)と対峙していた。確かにコーヒーが怪しい。しかし目の前で細工するのは難しい。となるとそのコーヒーを運んできた人物−、つまり恭子が怪しい。しかもなんと恭子は小林の妹だということが判明する。

一方、手術室では周作が小林に詰め寄っていた。親父は本当に助からなかったのか、と。それに手術中に感じた倦怠感、そして眩暈…、今考えてみるとどれも普通じゃなかった…。しかし目の前で父親が腸を見せた状態で横たわっている。途中でオペをやめるわけにはいかなかった…。示し合わせたように二人とも体調不良なんておかしいんじゃないか?本当に手遅れだったのか?親父はもう助からなかったのか?周作は小林の首筋にメスを突きつけながら、そう詰め寄った。

 と、その時ドアが開き、右京たちが看護婦の恭子とともに手術室に入ってきた。周作は手を止め、昨夜すべてを思い出したと言う。小林と恭子は周作の医療過誤によって命を落とした小林賢三郎の息子と娘だったという。小林は妹の恭子と協力し、周作のコーヒーに細工をし、手術を失敗させようとした。父親を殺された恨みを晴らすために…。

 小林が外科医の道を選んだのはひとつの命を奪うためだった。復習する心は途方もないエネルギーに支えられていた。虚しいエネルギーに…。(つづく)


武蔵野青木外科医院・外科医
小林亘 / 坂上忍
武蔵野青木外科医院・院長
青木周作 / 鶴見辰吾
出血多量
人間の血液量は体重1kg について約80mlあると言われている。その全血液量の約1/3(体重60kgの人間で換算すると約1600ml)以上を一時に失うと、生命に危険が及ぶ。
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