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ストーリー
第4話

『消える銃弾』 (2003年11月5日放送)
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 雑誌記者の有賀(村上靖尚)が何者かに狙撃され死亡した。狙撃された場所は推測できたものの、なぜか硝煙反応が出てこず特定できない。しかも、体内に残っているはずの弾丸も発見されず、銃弾の線状痕を調べることもできない。銃で撃たれたことは間違いないのに、銃の特定もできない。誰がそんな魔法のような銃を使ったのか…?

 鑑識課の米沢(六角精児)からこの事件の情報を得た右京(水谷豊)は改造銃にくわしい苫篠(下條アトム)に会いに行く。小さな町工場を経営している苫篠は、右京の突然の来訪に不快感を露にする。

「もういいでしょう。帰ってください」。

 仕方なく帰ろうとする右京だったが、そのとき弁当屋の娘が2人分の弁当を持ってやってきた。右京が不思議に思っていると、奥の部屋に祭壇があり苫篠の息子・孝一(渡部遼介)の写真が…。

 そんな折、有賀はゴシップを得意とする記者で人から恨まれることも多かったらしいことがわかる。その有賀が取材に行ったという建築家の十和田(石山律雄)を訪ねると、十和田は苫篠の息子・孝一の件で有賀が取材を申し込んできたことを認める。孝一は新進気鋭の建築デザイナー。十和田の事務所で働くことになっていたが、なぜかその直前に自殺してしまったという。

 さらに有賀が生前孝一の父が元過激派というスキャンダラスな記事を書いていたことがわかった。改めて十和田に事情を聞くと、やはり十和田はこの記事が原因で孝一の移籍話を白紙にし、娘のケイコ(高木りな)との付き合いもやめさせたという。それで孝一は自殺を…。と、そのとき十和田が例の魔法のような銃で狙撃され、重傷を負ってしまう。この件で苫篠のアリバイが成立し、犯人でないことが証明された。ということは、まさか自殺したはずだが遺体が発見されない孝一がまだ生きていて…?

それにしても犯人はどんな銃を使ったというのか。頭を悩ませていた薫(寺脇康文)は、子供たちが遊ぶ水鉄砲からある重大なヒントをつかむ。

「圧縮空気…。あれだ!」

すぐさま鑑識課の米沢に協力してもらい、コンプレッサーと銃身を組み合わせた改造銃の実験を行う。すると標的にしたスイカは粉々になり、殺傷能力は充分にあることがわかった。右京と薫はあらためて苫篠を訪ね、改造銃について追求すると、作ったことは認めるのだが、結局使うことなく何者かに盗まれたという…。

その時、右京に鑑識課の米沢から被害者の体内から人間のものではないDNAが検出されたと連絡が入る。

「どうやら我々は、とんでもない思い違いをしていたのかもしれません…」

右京と薫は弁当屋の娘・晴美の部屋を調べに行く。すると押入れの中からスペアリブの骨と銃弾に加工するための工具が入った箱が見つかる。十和田ケイコの身が危ない!右京と薫は車に乗り込み十和田建築事務所へ急行する。

十和田建築事務所の前ではボディガードに守られたケイコが車から降り、事務所の入り口へと向かっていた。そして道脇には「お弁当の青山」と書かれた小型車が!車内では既に晴美がケイコに狙いをつけていた…。

「間に合わない…」

ここまでか…、と思われたそのとき、右京が近くの道で風船を配っているマスコット人形が手に持っているバルーンを指さす。察した薫はとっさにボールペンを取り出し、バルーンに突き刺す。晴美も同時に改造銃の引き金を引く!

「バーン!」

破裂音に驚いたボディガードたちがケイコを地面に押し倒す。凶弾はケイコを逸れてビルの壁に炸裂する…。狙撃に失敗し、車内で呆然としている晴美に右京と薫が歩み寄る。

「罪を重ねなくて良かったですね」

晴美は町内会のキャンプで孝一に歌を教えてもらって以来、孝一に思いをはせていたらしい。二人は朝晩挨拶する程度の関係だったが、晴美にとってはその朝晩の挨拶が生きる支えだった。晴美は孝一が自殺する前日に様子がおかしいことに気づいていた…。あの時自分が何かしてやれたかもしれない。そうすれば孝一は死なずにすんだかもしれない。そう自分を責めたゆえの犯行だった…。(つづく)


町工場の経営者
苫篠武 / 下條アトム
硝煙
銃砲などの発射や火薬の爆発によって出る煙のこと。
この煙によって周辺に残された亜硝酸による化学反応の
ことを『硝煙反応』といい、犯罪捜査に用いられる。
銃で自殺した場合、自殺者の手にこの反応が出るか
どうかで本当に本人が発砲したかどうかがわかる。
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