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ストーリー
第1話

『ロンドンからの帰還 ベラドンナの赤い罠』  (2003年10月8日放送)
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 元検事で“平成の切り裂きジャック”とあだ名された死刑囚・浅倉(生瀬勝久)が脱獄。薫(寺脇康文)に連絡をとってきた。特命係時代、右京(水谷豊)とともに浅倉の正体を暴き、逮捕へと追い込んだ薫。「いったい何を考えているんだ!?」と、美和子(鈴木砂羽)とともに浅倉が隠れている場所へと駆けつけた薫は、浅倉に怒りをぶつける。そんな薫に浅倉は、右京の手で小暮ひとみ(須藤理彩)という女性を殺人容疑で逮捕して欲しいという。浅倉は数年前、とある薬科大学で発生した教授殺人事件の容疑者として取り調べたことがあったが、証拠不十分で釈放。事件はそのまま迷宮入りしたが、浅倉によるとひとみからは自分と同じ殺人犯の匂いがしたという。浅倉は薫に念を押すと再び連行されていく。

 そして休職してロンドンにいる右京に電話した薫だが、以前と変わらぬ人を小ばかにしたような態度に怒り心頭。自分ではなく右京を頼る浅倉に対しても腹が立ってきた薫は、現在の勤務先である運転免許試験場に休暇届を出し、ひとりでひとみを調べることに。

 まずは死刑囚の浅倉から事件の詳しい状況などを聞かなければならない。が、面会が認められているのは、親族以外では担当弁護士のみ。薫は弁護士のかおり(松下由樹)に相談、その彼女の提案で脱獄事件の際に刑務官の携帯電話を奪ったことを事件として告発。かおりを強盗事件の担当弁護士にし、浅倉との接触に成功する。

 かおりが浅倉から聞いたところによると、殺された教授の遺体からはアトロピンという大学関係者なら簡単に入手できる毒物が検出。教授が常用していたビタミン剤の中に毒入りカプセルを忍び込ませたらしい。確かに薬科大の大学院生ひとみなら犯行は可能だが、決定的な証拠はない。改めてひとみを犯人と断定する根拠は?と聞くかおりに、浅倉は「だから言ったろう、匂いさ」と繰り返すだけ…。

 一方ひとみを尾行していた薫の目に、突然右京の姿が飛び込んできた。右京はさっそくひとみに接触している。右京はミステリマニアだと自己紹介しつつ、教授殺害に使われたアトロピンが採れる植物を教えて欲しいと近づく。そんなひとみが右京を案内したのは、薬用植物園に咲くベラドンナの前。「美しい淑女」という意味があるベラドンナを前に、さりげなく自分の推理を披露する右京。

 実は右京が帰国したのは美和子の仕業だった。薫に内緒でメールを送っていたらしい。面白くない薫だったが、こうなっては仕方ない。右京とともにかつての特命係コンビを復活。ひとみの周辺捜査に乗り出すが、その矢先ひとみの不倫相手の交易会社重役・真鍋がアトロピンで死亡するという事件が発生する。

 右京と薫はひとみを訪ね、刑事であることを明かした上で、真鍋との関係について聞き出す。その話の中でなぜかひとみは右京と薫に真鍋の死因について訪ねてこない。右京はそのことについて追求するが、ひとみはそ知らぬ顔。右京と薫は釈然としないまま、調査を続ける。すると警視庁・官房室長の小野田(岸部一徳)から真鍋と同じ親睦団体に属していた佐川という建設会社の幹部が変死体で見つかったという情報を得る。しかも佐川もひとみと不倫関係にあったという。

 いよいよひとみが疑わしくなり、右京と薫はあらためてひとみを訪ね、一連の件について追求する。するとひとみはあっけなく「あたしがやりました。みんなあたしが殺しました。」と自白する。そして服を着替えにリビングを出て自分の部屋に戻るひとみ。しかしなかなかリビングに戻らない。不審に思った二人はひとみの部屋のドアをこじ開け中に突入する。すると、なんとひとみがベッドに仰向けに横たわっていた。

 救急病院に担ぎ込まれたひとみ。何とか命に別状はなかったが、目を覚ましたひとみは自白したことに関して「でたらめです!」と言い放つ。そのことを聞き、あっけに取られる右京と薫。「だったら俺がもう一度吐かせてやりますよ!」と意気込む薫。一方、右京は「少し冷静になってください。彼女の思う壺ですよ。」とあくまでも冷静沈着。しかしさすがに目の前で自殺未遂を図られてしまった責任は重く、二人は監察官に呼び出されてしまう…。(つづく)


東亜薬科大学 大学院生
小暮ひとみ / 須藤理彩
ベラドンナ
ナス科の植物。
学名「Atropa belladonna L」。
和名「セイヨウハシリドコロ」。
イタリア語で「美しい女性」という意味。
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