#右京と歴代相棒

元々は、警視庁にとって制御の利かない厄介者である杉下右京を“島流し”にするため無理やり設けられた窓際部署の特命係。“警視庁の陸の孤島”“人材の墓場”と揶揄され、右京の下についた6人の部下は相次いで警視庁を去った。しかし、捜査一課を追い出された亀山薫が居着いて以来、4人の人物が“相棒”と呼べる存在に。右京と固い絆を結び、歴史を重ねていった。

亀山 薫 時代
プレシーズン~シーズン7

プレシーズンは、2000年から2001年にかけ『土曜ワイド劇場』枠で3回放送。捜査一課の刑事・亀山薫(寺脇康文)は、指名手配犯に人質にされる失態を犯すが、杉下右京(水谷豊)の機転で難を逃れる。しかし、その一件を受けて、「人材の墓場」と揶揄される特命係に左遷。2人は望まないまま、バディを組むことに。そんな経緯もあって、当初はしっくりいかなかったが、共に捜査にあたるうち、次第に相棒としての信頼が生まれていった。2002年10月に連続ドラマ化。人質になった薫を、右京が救うというセルフオマージュからシリーズがスタートした。常に冷静で揺るぎない正義感を持った右京と、熱血漢でお人好しの薫。考え方や性格の違いから、ぶつかり合うことも少なくなかったが、様々な事件と向き合い、解決していく中で、互いになくてはならない存在になっていく。しかし、2008年スタートのシーズン7で薫に転機が。旧友の死をきっかけに、彼の遺志を継ごうと考えた薫は、子どもたちに“正義”を教えるため、不正が蔓延する南アジアの小国・サルウィンへの移住を決意。右京は、その思いを尊重し、「どうか、気をつけて行ってください」と、はなむけの言葉を送った。薫が渡航した後、2人が連絡を取り合う姿は描かれていない。

神戸 尊 時代
シーズン7最終回~シーズン10

シーズン7後半の“相棒不在時代”を経て、同シーズン最終回で神戸尊(及川光博)が初登場。警視庁のエリート官僚だった尊だが、上層部の密命を受け、2階級降格の上、左遷というかたちで特命係に配属される。当初は、「特命係は組織にとって必要か」を検証する“スパイ”として、右京の監視役を担わされていたが、行動を共にするうち、組織の論理より、自身の正義感に従って行動するようになっていった。シーズン8最終回では、警察庁復帰の打診を蹴り、特命係に留まることを選択。「ようこそ、特命係へ」という右京の言葉で、改めて迎え入れられた。クールで頭の回転が速く、負けず嫌いな尊は、ちょっとしたことで右京と意地の張り合いを。捜査方針でぶつかることも少なくなかったが、根底には互いを認め合う信頼関係があった。しかし、2012年に放送されたシーズン10最終回では、クローン人間をめぐる殺人事件の捜査で決定的に対立。その際、自身の正義を貫くため、右京に信念を曲げさせた負い目から、特命係を去ろうと決意する。それでも右京の「君を追い出すつもりはない」という発言で残留に傾くが、上層部の思惑から、警察庁長官官房付への異動を余儀なくされた。ただ、その後も必要に応じて連絡を取っている様子で、右京の要請があれば協力を惜しまない良好な関係を保っている。

甲斐 享 時代
シーズン11~13

2012年10月スタートのシーズン11第1話で、甲斐享(成宮寛貴)が初登場。イギリス旅行の帰りに香港に立ち寄った右京は偶然、所轄刑事の享と知り合う。警察庁次長の甲斐峯秋(石坂浩二)を父に持つ享は、不仲の父の威光を何よりも嫌っていたが、香港総領事の晩餐会への招待を断り切れず参加。拳銃の暴発事故に遭遇する。その事件に首を突っ込んできた右京を煙たがりながらも、真相の解明で協力。それをきっかけに、右京にスカウトされた享は、不本意ながら特命係に転属する。感情的で血の気の多い性格もあり、当初は不満を隠そうともしなかった享だが、右京の卓越した捜査能力と確固たる信念に触れるうち、警察官としても人間としても成長。右京も、享が持つ純粋な正義感を認め、相棒として信頼を置くようになっていく。ところが、2015年3月放送のシーズン13最終回で、まさかの事実が判明する。享は、親友の妹を殺した容疑者が、心神喪失を理由に不起訴処分になった事件をきっかけに暴走。特命係在籍中、法律による裁きを逃れた犯罪者に私刑を下す“ダークナイト”として暗躍していた。右京によってその罪を暴かれた享は、逮捕され懲戒免職に。その後、峯秋の計らいにより、イギリスに旅立つ右京と一瞬の再会が許された享は、「2人はまだ途中じゃないですか」という右京の言葉に涙をこらえきれなかった。

冠城 亘 時代
シーズン14~20

2015年10月スタートのシーズン14で、冠城亘(反町隆史)が初登場。享の事件の責任を問われ、無期限停職処分を受けてイギリスに渡航していた右京。帰国後、しばらくぶりに特命係に戻ると、部屋は見知らぬ人物に占拠されていた。男は、人事交流の名目で法務省から出向してきているというキャリア官僚の冠城亘。「現場に興味がある」という理由で異動してきた変わり種だ。ひょうひょうとして物怖じしない亘は、右京の復帰後、事あるごとに行動を共にし、捜査に首を突っ込むようになる。ただし、右京は当初、“同居人”というスタンスを崩さず、一定の距離を置いていた。それでも、頭脳明晰で行動力に長けた亘は、右京さえ一目置く存在になっていった。そんな中、亘が独断で犯した“捜査妨害”が警察上層部で問題視され、警視庁から追い出されることが決定的に。しかし、法務省時代の上司で法務事務次官を務める日下部(榎木孝明)から紹介された“天下り先”に、警視庁の文字を見つけた亘は、ノンキャリアとして入庁し直すことを選択。警察学校での研修を経て、本庁復帰に成功する。最初は広報課に配属されるが、要人の思惑が交錯する中、特命係に出戻る。それから長きに渡り右京の相棒として、“対等な関係”を築いていった亘だが、2022年3月のシーズン20最終回で卒業。日下部の要請を受けるかたちで公安調査庁へ移籍することに。別れ際、右京から「もう少しだけ一緒にやりませんか」と引き留められたが、亘の決意は揺るがず、後ろ髪を引かれながらも特命係を去った。

亀山 薫 時代 その2
シーズン21~

サルウィン移住後、右京や警視庁の元同僚たちと音信不通状態だった薫だが、“正義”を伝えた元教え子たちが、不正にまみれていた国の改革に成功。恩師である薫も親善使節団の一員として、日本に一時帰国することに。そんな折、右京は心当たりのないパーティーへの招待を受ける。それは、薫のサプライズだったが、右京は相変わらずの調子で、感動的な再会とはならず。結局、「亀山薫です」「知っています」という腰砕けのやり取りで始まる、2人らしい再会となった。その後、日本とサルウィンにまたがる事件の捜査で、再び右京とバディを組んだ薫。一連の出来事の真相は掴んだものの、サルウィンの新リーダーとなった教え子から国外追放処分を受け、妻・美和子(鈴木砂羽)と日本への帰国を余儀なくされる。思わぬ事態に戸惑っていた薫だが、それを耳にした伊丹が一肌脱ぎ、“嘱託職員”というかたちで特命係に復帰することに。さらに、シーズン21第11話では、事件でかかわった大物国会議員の働き掛けにより、正式に警察官として再雇用された。以降、特命係の一員として、右京とともに様々な事件に首を突っ込んでいく。そして、シーズン22第1話では、美和子の料理教室仲間の女性から、思わぬ依頼を受ける。それは、行方不明になっている婚約者を捜してほしいというものだった。右京と薫はさっそく経緯を調べ始めるが、事件の背景には、ある宗教団体が絡んだ陰謀が隠されており、2人は命を懸けた危険な捜査に駆り立てられることになる。
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