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12月22日 ミュージカル『NINE』を観てきました!


フェデリコ・フェリーニ監督の「8 1/2」(1963年)がミュージカルになると聞き、
銀座に向かった。
ミュージカル『NINE The Musical』

「8 1/2」は不思議な映画だった。
公私に生き詰まった映画監督グイド・コンティーニを主人公に、
9人の女が登場し、現実と幻想の世界を行き来する。
まるで絵画のような、
美しくも捕らえようがなく、すべてがまるで白昼夢のよう。
不思議な感覚が残像のようにして離れない、そんな映画。

この白昼夢のような映画(白黒ということもあるかもしれないけれど)を、
どのようにして観客を前に具現化するのかとても興味があったのです。

ミュージカル「NINE」は、見事に別次元の「8 1/2」を表現していました。

グイド役の松岡充の美しさはもとより、
女優クラウディア役の貴城けいや、愛人カルラ役のシルビア・グラブ、
プロデューサーのラ・フルール役の紫吹淳など、
9人の実力派女優たちの圧倒的な存在感と歌唱力!

この舞台ではグイドと9人の女がすべての出演者なので、
メインを歌いながら、違う場面ではアンサンブルをやり、道具の転換まで、
ほぼ全員が出ずっぱりという舞台。

原作と違い、この舞台にあったもの…それは“パッション”。
人を愛することの強さも、辛さも。
創ることの苦悩も。

現実と幻想を行き来する混沌の中で、
人の気持ちは、ただ川のようにさらさらと流れていくのではなく、
時には逆流しようと試みる。それが無理だとしても。
もがき苦しみ、時に愛の喜びを歌う。
このストーリーは実に人間的な感情に満ちたものだったと、はたと気づく。
だから、歌い上げてこそ、登場人物の気持ちが昇華されていくのだと思えたのです。
清清しい。原作は「8 1/2」だと言うのに!
これがミュージカル「NINE」の素晴らしさ。



「NINE The Musical」
東京公演は12月27日まで、ル・テアトル銀座にて公演中です。
   
 
    
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