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3月2日 「パーティ・モンスター」を観ました!
 
  マコーレ・カルキンくん、スクリーン復帰作の
「パーティ・モンスター」観てきました。
テレビ朝日のアトリウムにて、
松井アナウンサーに撮ってもらいました!
   

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イクラを持って家に帰る。
私のテンションは、高い。
ぷちっとして、とろっとして、つやつやしている、新鮮なイクラを、今晩は炊きたての
ご飯の上に、たっぷりと乗せるんだ!
ああ、イクラ。

この幸せなんだか、興奮なんだか、分からないけれど、わくわくした気持ちの中で、
ふと思った。
イクラのヨロコビは刹那である。

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田舎の男の子のマイケルが、一世を風靡するパーティ・プロモーターになっていき、
カネ、成功、名声、栄光を手にするまでの道のりと、孤独に苛まれドラッグに溺れ
殺人事件を犯してしまうまでを、当時のクラブシーンを忠実に再現しながら、
物語は語られていく。
1980年代後半から90年代初頭にかけて、アメリカのニューヨークであった、
本当の話。
主人公のマイケルは、今も刑務所の中にいる。

映画の中で、マイケルのこの台詞が、印象的だった。
「僕は風船みたい。ヒモを持つ人がいないと、どこかに飛んでいってしまう」

大きな風船になりすぎたのか。当時の彼の月収は日本円で400万円を優に超えて
いたほどたったという。地位も、カネも、栄光もあった。なのに、
ヒモを放たれた風船のように、遠くへと飛んでいってしまった。後戻りは出来ないほどに。
ドラッグの世界。そこは、彼の持つさみしさを埋めてくれる唯一の場所だったから。

刹那のヨロコビは強欲なのだろうと思う。
常に前のヨロコビを上回らない限り、それは続いていかない。
もっと!もっと!!と口を開けてまっている。
生まれたばかりのヒナのように、可愛い顔で強欲にねだる。
エサをやっているつもりが、いつの間にか自分の体を蝕ませている。

さみしさを埋めるつもりが、いつの間にか、自分すらも埋められてしまっていた。

当時のクラブブームといい、ドラッグクイーンの凄さといい、またドラッグの世界の
無法状態といい、特殊と思われがちな映画かもしれないけれど、
なぜか共感を呼ぶ。

それは、
誰しもが「さみしさ」のかけらを持っているからだと思う。

例えば。
明け方まで遊んでふと気づくと、空が白んでいる。
遊びの最中にいた時は楽しかったのに、今、空を見上げている自分は、さっきまでの自分と違う。
遠いところに流れてきてしまったような感覚。
そこにあるのは、もはや楽しさではない。
夢から醒めなければならない、さみしさ。

もしくは、好きな人をなくしたときを考えてみてもいい。
二人分で考えるクセがついている自分にハッとするだろう。
隣には誰もいないというのに。
さみしさ、に気づいてしまったらもう無視はできないのだ。
目をそらす。
しばらくたって、さみしさがどこかに去っていってくれていることを願いつつ横目で見ても、まだしっかりと居座っている。あぁ。

そんな経験、だれでも、したこと、あると思う。

さみしさは、愛情で埋められなければならなかった。
映画を見終わった後、マイケルの埋められなかったさみしさが、心にちょっと痛い。

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あのイクラご飯。
ひとりで、食べなければよかった。
三陸産のイクラは、とっても美味しかった。久々のヒットだった。
なのに私ときたら、イクラ景気が過ぎた後のさみしさを感じている。
家族で食べたら、きっと楽しかったね。
隣にだれか居てくれることのヨロコビをおかずにして。
イクラの刹那を、記憶という永遠にして。(大袈裟だけど。)

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■作品データ/『 パーティ★モンスター』
監督・脚本:フェントン・ベイリー、ランディ・バルバート
原作:ジェームズ・セント・ジェームズ
出演:マコーレー・カルキン、セス・グリーン、マリリン・マンソン、
    クロエ・セヴィニー、ナターシャ・リオン、他
配給:シネマパリジャン/2003年/アメリカ/

※今春シネマライズにて公開

■『パーティ★モンスター』サイト

http://www.partymonster.jp/

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