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9月5日 今週の金曜特集

オリンピックが始まる前の6月下旬から、小児がんの取材を続けていました。

お恥ずかしながら私はがんについてまったく知らず、
知らないこと自体に後ろめたさがいっぱいな上、
何気なく発した一言で子供たちを傷つけやしないかと心配で、
そろそろびくびくと手探りの状態でした。

それから、度々小児病棟を訪れ、患者さんやご家族と会話を重ねて、
お医者さんによる市民向けの講演会を聞きに行って、
ようやく、目の前の霧が晴れてきた気がします。

その先に見えてきたのは、こんなことでした。

医学の進歩で、
小児がん患者の7割〜8割は治ると言われる時代になったそうです。
でも例え治ったとしても、後遺症が残ったり、
厳しい治療のために、別のがんや病気を発症したりすることもあります。
長期的なサポートが必要です。
そして、患者さんだけでなく家族も、一緒に闘って精神的にくたくたになります。
そんな時、同じ病室の患者さんやご家族が、支えになってくれるそうです。
子供たちが学校や社会に復帰して生活するには、周囲の理解も必要です。
子供たち自身は、自分の病名を知った上で治療を受けています。
お医者さんと一緒に、病気と真正面から向き合って、
治療を理解しようとしています。

なんだかこの取材を続けているうちに、
自分の普段の悩みがものすごく些細なものに感じていました。
日々の失敗、上司にしかられたこと、ちっぽけなプライドが傷ついたからって、
落ち込んだり腹が立ったり、それをストレスと言うこと自体が、恥ずかしい。
そんなことがいったい何だって言うんでしょう。
苦しい治療にも泣き言一つ言わず前向きに生きる彼らの前では、
何の意味も為しません。
ニュース番組を担当していると、
自殺、家族殺、通り魔、日々、様々な事件に遭遇します。
社会が云々言う前に、命に無頓着な人が多すぎる気がします。
命を授かって健康に生まれてきた、それだけで幸せなのに。

2歳の潤くんは、先日、神経芽腫の腫瘍を取り除く手術を受けました。
20時間近くかかる大手術。全身の血を2回も入れ替えるほどだったそうです。
お母さんは言いました。「献血をしてくれた人たちに感謝ですね。」

…献血、しに行きます。
力になろうとさえ思えば、できることって意外と身近にあるのかもしれませんね!

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放送日:
スーパーJチャンネル金曜特集
9月5日(金)17:36〜17:54(一部地域を除く)


潤くん
   
 
    
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