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12月6日 歌舞伎

歌舞伎に関して素人ではございますが、
「歌舞伎って、こんなに面白かったんだ!」と感銘を受けたことが、かつてありました。

2年前の『歌舞伎座さよなら公演 二月大歌舞伎』。
中村勘三郎さん、勘九郎さん、七之助さんが出演されていた公演です。
『爪王』、『俊寛』、『ぢいさんばあさん』という演目で、
幕が開いたその時から、
舞台を縦横無尽に跳ね回る勘九郎さん(当時は勘太郎さん)演じる狐のダイナミックさに心を奪われ、
七之助さん演じる鷹や女形の透けるような美しさ、所作のしなやかさにため息を漏らし、
そして勘三郎さんが登場された時には、
会場が沸いて、
私もまるでアイドルを見るような気持ちで心をときめかせたのを覚えています。
華やかな一方どこかお茶目で、すぐ隣で話してくださっているような身近さも感じました。
勘三郎さん演じる俊寛の、
たった一人、島に残る決意をし、家族の乗る小船を見送る際の表情、
― 迷い、苦悩、後悔、決意… ―
深く感銘を受けて、一心に拍手しました。

歌舞伎を初めて見に行ったのは学生時代でしたが、
そのときは面白さを理解できないまま、お恥ずかしいことに、途中で寝てしまいました。
本当は歌舞伎って面白いんだよ、ということを、
だいぶ時間が経って、勘三郎さんに教えていただいた気がしています。
勘三郎さん、ありがとうございました。
このたびの訃報に際して、心からお悔やみ申し上げます。

   
 
    
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