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Vol.6 (2001/07/12) 小野伸二選手移籍決定!


「小野選手フェイエノ―ルトへ!」
わたくし萩野志保子も、オランダリーグを昨季からどうにか実況させてもらっておりますが(注:オランダリーグは現在シーズンオフですが、BS朝日にて再放送中)、もうっこれはこれは!正直、私達アナウンサーもスタッフも色めきたってしまっています。嬉しいですねー、デカイプ(フェイエノ―ルトホームスタジアムの通称)を舞う小野伸二。楽しみで楽しみでしかたありません。

さて、七夕の夜はもちろん横浜国際行ってきましたよ。たとえ延長でも、勝ちさえすればジュビロの優勝が決まるという大一番!
故障で戦線離脱していた名波選手と高原選手が、この優勝のかかった試合で復帰するとあって、開幕8連勝ぶっちぎりの強さ全開、圧倒的な勝ち方で優勝をかっさらうのでは。
なんて思いながらも心配事が。
ゲームキャプテン服部選手が累積で出場停止。これは痛い。
いくら経験豊富な磐田でも、どうだろう。
やはり。
前半の1ゴールでリードしていたとはいえ、後半足が止まってしまい苦しそうな時間帯が。
オウンゴールで追いつかれ延長へ。
攻撃的にくるFマリノスを見るに、
ジュビロの優勝は先延ばしになってしまうのかな…という思いがよぎる。
ところが。
「高原右足ボレー」がカッコ良く決まり文字通りのVゴール!
上がりすぎて戻りきれなかったFマリノス。熟練ジュビロがちょっとした隙を見逃すわけはありません。内容的にはベストでなかったとしても、しっかりVゲットするあたり、さすがのチーム力を感じるではありませんかっ。

それにしても観客の多さに感激するゲームでもありました。キックオフ2時間前に行ったので、当たり前ですが空き空き。「優勝かかってる試合でも、やっぱりJリーグだとそんなに埋まらないのかな、横国大きいしなぁー…」なんて思っていました。
選手達がピッチでウォーミングアップし始めてもまだ空き空き。ウォーミングアップを眺める服部選手(既出:累積で出場停止)もスタンドを見上げながら、「5万人くらい入るかなあなんて思ってたけど、やっぱりそこまでいかないかー。」とつぶやいていました。
ところがところが増える増える。4万3千人!!代表Aマッチレベルです。
なんでも駐車場には、磐田サポーターのみなさん用の観光バス13台、マイクロバス2台が停まっていたそうで。新聞報道より実際の方が凄まじかったとは、さすが磐田サポーター!

そして。特筆すべきはこの試合の主審。オランダ人のディック・ヨルさん。フランスWC日本vsアルゼンチンで記憶に残っている方もいらっしゃるのでは。
ついこの間までオランダリーグで吹いておられました。
私にとって、ディック・ヨルさんがJリーグで笛を吹いていらっしゃることは、ある意味ちょっとした事件です。
1stステージ途中から来Jしたヨルさん。オランダリーグでのそのジャッジっぷりたるや、もう信じられないくらい、とにかく吹かないんです。
「ウォーッ!酷すぎる!」と思うようなファウルがあっても流す流す。
この方がシーズン途中から活躍の場をJリーグに移すと聞いて、一体全体ドンナンナッテしまうのかしらっ。と興味深々。
でもこの試合を見るに。郷に入っては…ということなんでしょうね、きっちり吹いておられました (笑) 
オランダリーグは、ヨルさんに限らず、「絶対ファウルでしょー」と思うようなシーンでもなかなか吹いてくれません。見ている方にっとては、格闘技みたいで興奮…なんてシーンが味わえることにもなりますが、選手がよく平気だなーとびっくりしてしまうこともしばしば。そんな環境ですから、小野選手もきっと、更にたくましくパワーアップしていくことでしょうね。
でも笛の回数が少ないからといって、ゲームが荒れ放題になってしまうわけではないところがポイント。「審判の威厳」というのでしょうか。選手は、サッカーでよく見られる「訴えアクション」くらいのことは当然しますが、闇雲に試合が荒れてしまうという状況にはならないし、させない(たまにはハメをはずす選手ももちろんいますが、それも面白かったりする)。巧みに、時にあたたかく選手とコミュニケートする姿は、まさに成熟したサッカー文化における審判像。興味深い世界です。
ヨーロッパのリーグで垣間見る、成熟した「選手と審判のコミュニケーション」。
この日のディック・ヨルさんもしかり。
うなだれる川口能活選手に手を差し伸べ励ましていました。しっとりと胸にやきついたシーンです。

メモ
7月9日
浦和レッドダイヤモンズ小野伸二選手
オランダ1部リーグ フェイエノ―ルトへの完全移籍決定
7月7日
第13節 横浜Fマリノス1−2Vジュビロ磐田
ジュビロ磐田、99年第1ステージ以来4度目のステージ優勝
 
萩野志保子のGrassWorld
  サッカー中継、「速報!スポーツCUBE」のサッカーコーナー担当。サッカーを愛してやまない萩野志保子が、Jリーグ・日本代表取材記はもちろん海外サッカーなど、萩野ならではという視点で綴っていきます。  
 
    
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