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Vol.3 (2003/12/18)  映画「あたしンち」
  コミックスは9巻で650万部を記録、テレビ朝日系列でも大人気のアニメ『あたしンち』がついに映画化!12月6日から、全国一斉公開中でございます。
どうでしょう、冬休みは、家族みんなでそれぞれの「心当たり」をつつかれにいきませんか?
「どんな感じなんだろう?」と思っている「あなたンち」皆様へ、
このコラムを捧げます(^w^)

 90分オリジナルストーリーで、単独公開勝負である。
 人気アニメの映画化というと、例えば『ドラえもん』や『クレヨンしんちゃん』などに共通して言えるように、TVシリーズにはない「大スペクタクル感」満載のストーリーと設定、これが必須のようである。しかも、大人がはまる涙と笑いで人気を博している。
 『あたしンち』の場合、「そうそう、ウチでもあるあるそういうことっ!」に始まる、日々の暮らしが舞台であるからこその「共感からくる笑い」、これが命であるからして、映画になるといったいどう描かれるのだろうか。それが最も気になるポイントだった。
 映画の宣伝文句に必ず登場していたキャッチコピーは、
 「えーっ 母とみかんが入れかわった!?みかんが母に、母がみかんに!?」というもの。
 なるほど、時空を旅するわけではないから生活ベースはそのまま、あくまで“普段のタチバナ家”に大事件が起きるスンポウなのだな?しかし「誰かと誰かが入れかわるだなんて、良くある話じゃないの?みかんが母で、母がみかんで・・・?」と、少し意地悪く思ったり。実はTVシリーズ『あたしンち』に、予告アナとしていささか出演させて頂いている私でさえそんな性悪に傾くのだから、観る前は、結構多くの方がそんな風に感じるかもしれません。

 が、しかーし!(TVシリーズ予告アナ風)
そういうことじゃなかった。というか、いや、確かに母とみかんは入れかわるのだけれど、二人が入れ代わってしまったことからくるドタバタだけで押していくと思ったらおーまちがいなのでした。
そりゃそうですよ、人気『あたしンち』スタッフの総力が結集されているスペシャルなわけですから、そんなことになりっこないのですよね、考えてみたら。ごめんなさい。
 とにかくものすごく笑えます。かなりひっきりなしに、相当可笑しいです。
 ほのぼのと時間が過ぎていくのかしらね、と思ったら大間違い。
登場人物達の会話と挙動、このリズム感が絶妙なので、笑いに緩急があるのです。
爆笑させられたあとはほくそ笑み、それでもってまた重ねてきたなー!と噴出し笑い。
いいように振り回されてかなり充実します。そして、人によっては涙してしまうかも、というくらいツーンとくるシーンも。
 普段のシリーズでおなじみの、細かいことにも必死な「母」、ダラーンとした「父」、いわゆるフツーの女子高生「みかん」、クールな中学生「ユズヒコ」。
どこにでもいそうな“タチバナ家”の日常を観ながら、「心当たり」があるたびに感じるちょっとした快感と可笑しさが、母とみかんが入れ代わるという大事件によって、より鮮明に、いとおしいほどに盛り上がるのです。
 みかんの体にはいってしまった「母」は、学校生活でみかんの気持ちを体感し、母のからだにはいってしまった「みかん」は、同窓会に赴き、母の初恋の人を通して甘酸っぱい一ページに遭遇する。
 ストーリーのかけらをなぞると平凡な感じがするけれど、それぞれの気持ちの波動が、『あたしンち』流のセンスあふれるダイアローグで展開されていくからたまらない。
 やはり、「いとおしき平凡」を見せてくれる『あたしンち』は、ものすごく非凡なのであった。

■お正月映画『あたしンち』
テレビ朝日開局45周年記念
東映・テレビ朝日・シンエイ動画提携作品
原作:けらえいこ
監督:やすみ哲夫
主題歌:「あたしンち」矢野顕子(EPICレコード)
演出:牛草 健
作画監督:大武 正枝
録音監督:大熊 昭

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