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3月13日


おすもうさんをまつこどもたち

本来であれば、今日3月13日(日)から、
大相撲春場所が開幕する予定でしたが、
八百長問題をめぐり、日本相撲協会は春場所を中止しました。

そこで、春場所を楽しみにしていた人たちを大阪で取材した
「サンデーフロントライン・オンエア後記」を、
春場所初日にあたるこのタイミングに、
改めて掲載させていただきます。

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■おすもうさんをまつこどもたち

ことしももうすぐ、おすもうさんたちがやってくるね。
え、こないかもしれないの。
ごつん!ごつん!ぶつかるけいこ、みんなでみようよ。
ちょっとこわいけど、もうなかないからさ。
ことしもおもちつき、やるんじゃないの。
こなかったら、おすもうさんといっしょのしゃしん、
そつぎょうあるばむにのせられないよ。
えー、なんでこないの!?

この疑問に大人は、なんと答えればいいのだろう。
大相撲春場所の開催地・大阪では、
突然降って湧いた「八百長メール問題」に、
関係者は頭を抱えている。

今年もプレハブの宿舎と土俵を用意して、
錦戸部屋を迎える予定だった富田林市中野町会のメンバーも
気になって仕事が手につかないという。
(中野町会では町おこしの一環として、錦戸部屋を毎年迎えている)

本場所前から長期間滞在する相撲部屋を迎えるとなると、
土俵作りなどの相撲そのものの準備はもちろんのこと、
もちつきなどのイベントを調整したり、
市内の幼稚園・保育園からの見学スケジュールを組んだり、
バスを手配をしたりと、一年がかりの作業になるという。

そうした準備を重ねて力士たちを迎えることで、
町に春がやってくる。

関取(十両以上の力士)が一人もいない錦戸部屋だが、
町の人たちにとっては
一年でどれだけ成長し、強くなったのかを楽しみにしていて、
部屋の力士たち一人一人が特別な存在なのだ。
子どもたちにとっても、目の前で「おすもうさん」を見て、触れられる、貴重な機会だ。
ぶつかり稽古の迫力で思わず泣いてしまう子もいるという。
町の幼稚園・保育園では、
子どもたちが力士たちと一緒に写った写真を卒業アルバムに載せるのが、
毎年のお決まりになっているという。

と書いているところで、
「春場所中止を正式決定」との一報が入ってきた。

中野町会のみなさんは
今回の事の重大さを十分に認識しつつも、
「やっぱり来てほしい」と話していた。
無念さを想像するだけで胸が痛くなる。

冒頭の子どもの言葉は、
町会のみなさんの話をもとにした私の創作だが、
楽しみにしている子どもたちに、
町の人たちはどう説明するのだろう。
そんなことを考えるだけでも
関係した力士たちへの怒りがこみ上げてくる。
(2011/2/6)

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八百長問題の調査はその後も難航している模様で、
夏場所(5月)の開催すら危ぶまれている状況です。
しかし、大相撲の根幹にかかわる問題だけに、
きちんとした結論が出るまでは、
開催を急がせてはならないのかもしれません。
ファンが納得する形で決着させて、
またおすもうさんたちが元気な姿でこどもたちを喜ばせてほしいものです。

ということで、
「サンデーフロントライン・オンエア後記」はニュースEXで配信中!
詳細はこちらです。
(http://www.tv-asahi.co.jp/news-ex/)

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ニュージーランド地震の取材にて(相撲とは関係ありませんが…

   
 
    
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