|
|
|
|
■野村真季 |
|
|
|
「いつもいつも、欲しいものをほしいと言えない自分を、あきらめていた。」
脚本の中にあるこのセリフ。驚いてしまいました。
これって、昔の私。
「欲しいものをあきらめた」ことと、「欲しいと言えない自分をあきらめた」ということは全然違うのです。
「自分」を諦めてしまうことを続けると、いつの間にかそれに慣れてしまう。
坂道に車を止めたときに、ブレーキを踏んでいるようでも、少しずつずるずると後退していくように。
この言葉は、消極的で前に進んでいけないことへの、自分に対するエクスキューズが込められているんだなぁ、と。しみじみ。 |
脚本家の工藤カンナさんに、このことを伝えました。
感動したこと、驚いたこと、どうしてあの言葉が出てきたのでしょう?
工藤さんは、「あなたを見ていてそんな風に思った」と。工藤さん自身は前向きに突進するタイプだから、正反対にいる私のことが分かるのだそう。
好きな人に好きといえず、遠く離れた場所から視線が届きますように、と願っていたこと。
前に行きたいけど行けない。一歩踏み出すことの難しさ。
「昔の」私が抱えていたことが、そのまま文章に表現されている。
「今の」私がするべきことは、情熱を持ったスタッフのみなさんが用意してくれた場所に、身を任せること。考えないこと。ただ感じる言葉を出していくこと。
終わった後に書いていくと、まるでスムーズに進んだかのようですが(笑)、スタッフの皆さん、共演者の中井さんに、本当に助けていただきました。
NGをいっぱい出すし、目の動き、体の動き、息の使い方…教えていただいたことは数知れず。
この場を借りて、本当に、本当にありがとうございました!
ほしいものをほしいといえる自分になれますように。 |