全世界の注目が集まった開会式についてお伝えします。
まず、心が揺さぶられたのは、開会式に向けたカウントダウンの直前に、この日、練習中にお亡くなりになった、グルジアのリュージュ選手にこの開会式を捧げるというアナウンスがあったことです。 全世界が注目する開会式のプログラムを変更することは、想像を超える困難があると思います。 ただ、それ以上に、一人のオリンピアンが、不慮の事故で開会式を迎えられなかったことに哀悼を示す健全な精神に一種の安堵感を覚えました。
場内から「グルジア」とアナウンスされた瞬間、6万人を越える観客が一斉に立ち上がり、悲しみに包まれたグルジア選手団を熱い激励の拍手で迎えました。 「あ、これがオリンピックなんだ。」 国籍、人種、宗教、を問わず、会場が一つになった瞬間でもありました。 史上初、屋内で開催された開会式は、考え抜かれた演出が随所に散りばめられた「荘厳なオペラ」であり、先住民族の文化に光をあてた絵巻物でした。 ただ、私の心には、世界一流の演出家による考え抜かれた演出の数々より、「グルジアの悲劇」が引き起こした「健全な五輪精神の発露」が深く刻まれました。
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