藤本貴昭くん(16)は生まれたときから耳が全く聞こえない。両親はそんな貴昭くんが強く生きていくようにと、あえて普通の小学校に進学させた。しかし、そこに待っていたのは心ないいじめだった。貴昭くんはいじめに勝つために、強くなるためにボクシングを始めた。ケンカの毎日だった貴昭くんはボクシングを習得するにつれ、ケンカをしなくなった。「我慢する勇気」をボクシングから学んだという。
しかし、そんな貴昭くんも高校になったころから何かが変わり始めた。いじめはなくなった。快適な高校生活。目標を見失い、「強くなること」は到達点ではなく、「出発点」だったことに初めて気づいた。目の前に何もなくなったとき、しかし、自分にはボクシングがあったことに改めて気づいた。いま改めてボクシングと向き合う貴昭くん。迷い、つまづき、そしてまた立ち上がる。16歳の難聴のボクサーはいま、道の途中にいる。
(制作:名古屋テレビ)
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