放送したお宅
2013年3月1日(金)放送
神奈川県横浜市・松岡邸
- ガレージから始まった家づくり -

2012年6月

敷地面積 127平米 (38坪)
建築面積 63平米 (19坪)
延床面積 118平米 (36坪)
木造2階建て
建築費:2800万円 坪単価:79万円



北側で接道する敷地。黒い箱の数カ所に入れられた“切れ込み”が特徴の外観。1階が子世帯、2階が親世帯という一般とは逆の2世帯住宅です。

西側にある子世帯の玄関。ドアをくぐっても、まだ屋内ではなく中庭。プライバシーを守りつつ通風・採光すると同時に厳しい建ぺい率をクリアするためのものです。

1階の子世帯LDK。広さは13.5畳。車庫との間仕切りはガラスの引き違い戸で常に愛車を眺めながら生活できます。この車庫のために子世帯が1階になりました。

屋内は落ち着いた色合いで統一。テレビ台は床と同じウォールナット材で造作しました。システムキッチンは天板の高さを90cmと高めの設定です。

車庫に納まるのは、1988年式のホンダCR-Xとカスタムしたハーレーダビッドソン。西面の内壁には厚さ3cm以上の足場板を張り、小物類を自在にディスプレイできるようにしています。

子世帯の寝室は広さ4畳。浴室も黒・茶の落ち着いた色合いです。この浴室に隣接して2つ目の中庭が設けてあり、そこからさらに車庫まで見通せます。

2階の親世帯は1階と対照的に白を基調とした明るい空間。外観の特徴である“切れ込み”がバルコニーや中庭の吹き抜けとなり、そこから通風・採光します。

居間・寝室として使われる6畳の和室。床柱は建て替え前の家から流用しています。この他、浴室と予備室があります。

建築家のプロフィール
玉生啓一(たまぶけいいち)
佐野隼一朗(さのしゅんいちろう)
THREE.BALL.CASCADE.ARCHITECTS
/ スリーボールカスケード一級建築士事務所

玉生啓一(たまぶけいいち)と佐野隼一朗(さのしゅんいちろう)により2009年に設立。建築の設計をはじめ、ショップのインテリアデザイン、展覧会の会場構成、プロダクトデザイン、空間インスタレーションやムービー制作への参加など多岐に渡り、建築的な思考をベースに取り組んでいる。主な作品に「HARLEY IN DA HOUSE」「柏の美容室」「石のギャラリー・アトリエ」「H-house」など。「影のテーブル(TOKYO DESIGNERS WEEK2009)」は、会期中の最も優れた展示としてデザインプレミオ賞に選ばれた。2010年「LONDON 100%DESIGN」に招待出展。
THREE.BALL.CASCADE.ARCHITECTS
所在地 東京都渋谷区広尾1-3-18広尾オフィスビル11F-A
電話 03-6869-9370
E-mail info@threeballcascade.com
URL http://threeballcascade.com/

建築家の一言
概要
この住宅の敷地はは横浜市の高台にあり、坂道の多い住宅街である。敷地周囲には低層住宅が立ち並び、唯一の開いたスペースは北面道路だった。施主から与えられた要望は、
・趣味の車とメンテナンス用のスペースを大きく確保すること。
・二世帯住宅であること
・車を見て過ごしたいので、子世帯が一階、親世帯を二階とすること。
の3点だった。

考えた事
私たちは、採光、通風を確保し、周囲の建て込んだ住宅からの視線を避けるため、 中庭を作るプランを検討した。そして一階ではガレージを中心のプランとして、生活スペースのほぼすべてをガレージとガラス越しに繋がるように設計した。二階では中庭を中心とした分棟型のプランとして、各居室に採光と通風を適度に取り入れるよう設計した。

遊びのある場所
大きなガレージ、中庭、吹き抜けという生活空間に直接必要の無い場所を各所に散りばめることを設計のテーマとした。この場所が時に四季を感じさせる場所となり、視線の緩衝空間となり、多様な使い方が出来る場所として、この小さな住宅の生活に豊かさを与えている。
渡辺篤史の感想
家づくりは、大好きなクルマ、オートバイを収めるガレージから始まりました。人生を楽しむ姿勢を具現化した建物と言っても言い過ぎではないでしょう。そして、それを造り上げたのは、設計が小学校の同級生、施工した大工さんが高校の同級生という、永い付き合いの仲間たち。楽しみながら家造りを進める若者たちと、それを温かく見守るご両親の存在があって、この建物が完成したんですね。