放送したお宅
2013年1月25日(金)放送
東京都・工藤邸
- 奇想天外な部屋を楽しむ家 -

2011年10月

敷地面積 73平米 (22坪)
建築面積 36平米 (11坪)
延床面積 79平米 (24坪)
木造
建築費:2030万円 坪単価:85万円



22坪の敷地に家屋とテラス2つの建物。テラスを家と切り離す事で、限られた敷地を広く感じさせる工夫です。

玄関を抜けるとダイニングキッチン。天井高3.8m、広さ12畳。北面の開口が室内に光を届け通風します。階段の下部は収納になっています。

長さ2.7mのダイニングテーブルとシンクを一体化した対面式キッチン。キッチンの床は汚れや水はねを考慮し土間のようなモルタル仕上げを採用しました。

天井高を低めにしたリビング。広さは約5畳。ダイニング側の壁には窓を設けて繋がりを確保。キッチンからはこの窓を通してテレビが見られます。

リビングの奥に水回り。左がトイレ、右が洗面・浴室の入口です。2つの扉を斜めに配置する事で、リビングが少し広く感じられます。

中2階は7畳の和室。天井高を1.4mとすることで床面積に算入されない空間です。吹き抜けを通じ眼下のダイニングキッチンが見渡せます。

2階は中央に階段を置いた寝室と予備室。広さは合わせて約22畳。傾斜した天井と構造体が現しになった屋根裏部屋を思わせる空間です。

予備室は将来の子供部屋。奥は壁で仕切られた収納です。床の一部を開けると階下のダイニングキッチンと繋がります。

建築家のプロフィール
長岡勉+田中正洋+横尾真
POINT
長岡勉(ながおか べん)
1970年 東京生まれ
1997年 慶応義塾大学修士課程修了
1997年~2001年 山下設計
1999年~ POINT設立
現在 慶應義塾大学、桑沢デザイン研究所非常勤講師
田中正洋(たなか まさひろ)
1975年 東京生まれ
2001年 東京工業大学大学院修士課程修了
2002年 アトリエ・ワン
2005年~ POINTパートナー
OUVI
横尾真(よこお しん)
1975年 山梨生まれ
2001年 東海大学大学院工学研究科修了
2001年~2004年 池田昌弘建築研究所
2004年~ OUVI設立
現在 東京理科大学、東海大学非常勤講師

株式会社POINT
所在地 〒150-0042東京都渋谷区宇田川町42-6co-lab渋谷アトリエ105
電話 03-6416-4095
FAX 03-6416-4039
E-mail point@point-tokyo.jp
URL www.point-tokyo.jp

建築家の一言
この住宅は、敷地が22坪と小さいため、北側の斜線制限におさまる最大の建物ヴォリュームを確保しました。そのため、外形は片流れ屋根のシンプルな形をしています。この内部をうまく切り分けることで、性格がそれぞれ異なる4つの部屋ができました。それらは、平面はもちろん、断面(天井の高さや形)も各々異なり、さらに、仕上げや光の取り入れ方の違いをかけ合わせることで、見た目も居心地も全く異なる空間になっています。
玄関を入ってすぐのダイニングキッチンは、とにかく気積を大きくしました。天井高さは4メートルと普通の倍近くあります。北面の高い位置にある大きな出窓は柔らかな光をたくさん取り込み、明るさに満ちた開放的な空間になっています。ここに対面式の大きなキッチンカウンターテーブルを設けることで、家族や来客の集いの場になっています。
ダイニングキッチンの奥にはリビングがあります。ここは一転してコンパクトな空間にして、仕上げのトーンも落としました。造り付けの広いソファでリラックスしながらテレビや映画を楽しむ、落ち着きと包まれ感のある空間です。
2階につながる階段の途中からは和室に入れます。天井高さが1.4メートルと立つことができないくらいの高さですが、座って過ごしたりゴロゴロしたりするには十分な隠れ家的なスペースです。
階段をのぼりきると寝室に出ます。ここは、片流れ屋根の形も構造体もそのままあらわした屋根裏部屋になっています。屋根裏ですが、建物の平面をすべて使った、この家でいちばん面積の大きな部屋です。将来的には仕切りを設けて半分を子供部屋として使う時も来るでしょう。
このように、狭小住宅といえども、キャラクターの異なる空間を幾つもつくることで、ひとつの住宅の中にメリハリを生み出し、新鮮さや新たな発見が長年持続するような体験豊かな住宅を目指しました。
渡辺篤史の感想
設計次第でこれほど自由になれるんだなということを実感しました。リビングは少し閉じたこもる空間ですが、ダイニングと小窓で繋がる優しい配慮があります。中2階に和室、上に行くと寝室と予備室。予備室は将来自由になんでもできる余白みたいな空間。生きることの励ましのエッセンスがあちらこちらにある建物ですね。