放送したお宅
2012年10月5日(金)放送
埼玉県熊谷市・戸谷邸
- 外から中まで緑が連続する家 -

2010年1月

敷地面積 661平米 (200坪)
建築面積 193平米 (58坪)
延床面積 251平米 (76坪)
木造軸組
建築費:非公開 坪単価:非公開



田園に囲まれた立地。庭は周囲の田園に繋がって見えるよう境界近くを盛り上げています。植栽の配置も雑木林をイメージしてデザインされています。

透明ガラスの玄関ドアをくぐると向こう正面も全面ガラスで、裏庭の植栽を眺められます。床は土間部分と上がり框を同じタイルで仕上げ、外のような印象を生んでいます。

1階LDKの広さは約49畳。3方の大きな開口、タイル張りの床、そして床の一部を抜いて植栽を地植えした居間は“インナーガーデン”と名付けられた屋内の庭です。

居間の吹き抜けは高さ6m。一方、天井高を抑え、床を1段上げ、床・壁を木張りとした食堂は、家の中にさらに家があるような落ち着きを感じさせる空間です。

1階の中心に据えた台所はアイランド型でオープン。正面の大開口から庭とその先に広がる田園風景を眺められます。背面もガラス張りで、棚越しに裏庭の植栽が感じられます。

1階西は約12畳大の和室。家族で寛いだり、客間になったりと多目的な空間。掃き出し窓の外には濡縁があり、台所の前まで繋がっています。

2階へは居間に設えた階段で上がります。ホールから吹き抜け越しに外を見ると、はるか遠くまで視界が広がります。一見オープンな主寝室も引き戸によって個室になります。

子供室は将来2つに仕切る事も考慮した12畳大の広さ。浴室は開口部を大きく採り、周囲を広いバスコートで囲んだデザイン。露天風呂のような気分が楽しめます。

建築家のプロフィール
堀内 雪 + 堀内 貴和(犀)
堀内 雪
筑波大学基礎工学類卒。毛綱毅曠建築事務所設計室長を経て、
2000年スタジオCYを設立し、住宅の設計を中心に活躍中。
受賞歴/ 1998年商環境デザイン賞、
2001年裏磐梯シービジョンズコンペ、
2007年あたたかな住空間コンペ、
2008年レジデンシャル・ライティング・アワーズ、
2008年茨城県建築文化賞、
2009年、2010年日本建築家協会優秀建築選など。
堀内 貴和(犀)
福井大学工学部卒。雑誌POPEYEの編集者をやりながら、
片岡義男氏に小説作を師事。
総合文芸誌「野性時代」でデビュー。
著書に「ラインハルトに会いたい」「ジャズに生きる(翻訳)」(東京書籍)。「花をめぐる5つの短編」「ハーフムーンベイ」  「胸いっぱいのロックンロール(翻訳)」(マガジンハウス)。「アウト・オン・ザ・ロード」(アーツ・アンド・クラフツ) 他多数。スタジオCYのアドバイザー。

(株)スタジオCY(サイ)
所在地 東京都町田市相原町787-2-W316
電話 042-773-2247
FAX 042-773-2777
E-mail contact@studiocy.com
URL http://www.studiocy.com

建築家の一言
ゆるやかな起伏があり、自然の林のような庭の景色を、建物の内部に穏やかに取りこむように建物を計画しました。光と風、庭や外部の風景や気配をボーダーレスに取りこむ仕掛けであるリビングがこの家の中心です。エバーフレッシュとハイビスカスが直植えされた高さ6メートルの吹抜けは、3方が木建具による開口となっていて、庭と建物の内部をつなぐおおらかな空間。光と風、そして、生き生きとした緑の気配を肌で感じながら、ゆったりとした時を過ごすための仕掛けです。
この空間と自然につながるように、各部屋を配置しています。リビングの緑は、日々微妙に変化して、ここで生活する人に潤いを与えてくれます。また、昼間も夜も「木陰」を作り出して、内部空間に奥行きのある陰影を与えてくれます。
庭は、建物の内部から見た時に美しく牧歌的な畑が広がる景色を遮らないように背の高い樹を配置しています。時間の経過とともに、建物と庭が馴染んでいき、本当に野山を散策しているような風情となることでしょう。
渡辺篤史の感想
屋内に直植えの木があります。鉢植えも良いですが、育つ勢いが違いますよね。そして、外に広がる田園の風景。内外の緑が繋がるようにして住空間が形成されています。この内外のバランスが絶妙で、どちらが欠けても違った空間になります。郊外の環境を活かしきった理想形の一つと言って良いように思います。