放送したお宅
2012年9月28日(金)放送
神奈川県葉山町・水見邸
− 翼のような大屋根の家 −

2011年6月

敷地面積 320平米 (97坪)
建築面積 56平米 (17坪)
延床面積 95平米 (29坪)
混構造(1階RC造、2階木造 小舞土壁)
建築費:3300万円 坪単価:115万円



海にも近い雛壇状の住宅地にたつ1階RC造、2階木造の住宅。コンクリート打ち放しの外壁は“杉板写し”仕上げで2階の杉板張りと統一感を出しています。

職人技の散りばめられた建物。玄関扉の取っ手は米松材と漆喰のコンビに螺鈿を嵌め込んだ物。靴収納など建具は杉の“源平”を組んだ物。内壁の漆喰も上下階で塗り方を変えています。

2階はワンルームのLDKと和室。広さは約32畳。鳥が翼を広げたような屋根の構造を現しにしたダイナミックな空間です。棟木と登り梁以外は全て東京産の杉材を使用。

2階の壁は漆喰仕上げ。下地は伝統的な竹小舞に土壁を塗った物。竹小舞の工事には建主ご夫婦も参加しました。ホールのような空間はオーディオの響きも良いそうです。

対面式の台所カウンターは青色の漆喰研ぎ出し仕上げ。緑豊かな景色を楽しみつつ作業できる位置です。上部のロフトを支える柱は8角形断面。

和室は普段はLDKと一体、時には障子を閉じて個室として使用する空間。上部が抜けているので天井の木組みを楽しめます。北側にはベランダがあり、山の空気を感じられます。

1階は広さ約11畳の寝室と水回り。寝室から縁側に繋がる掃き出し窓には施錠できる格子戸が付いていて、防犯と通風を両立します。

洗面所のカウンターにも東京産の杉板を使用。浴室の床・壁はタイル張り、天井は桧縁甲板張りです。トイレも壁を面によって塗り方を変えるなど職人の技を感じられます。

建築家のプロフィール
林 美樹
1985年 武蔵野美術大学大学院修了。
1985年〜96年 日本設計インテリア設計部勤務。
1992年〜94年 ヴェネチア建築大学に学ぶ。
1996年〜 Studio PRANA主宰。
主な作品:大沢の家(2000 東京)、諏訪の古民家再生(2001 長野)、上越の家(2001 新潟)、清心幼稚園(2004 群馬)、南葉山の家(2004 神奈川)、武蔵野・草屋根の家(2006 東京)等。
一級建築士。(株)日本建築家協会登録建築家。
環境共生を主眼に置いた住宅などを手がける。南葉山の家でOM地域建築賞優秀賞、武蔵野・草屋根の家で「住まいの環境デザイン・アワード2008」環境デザイン優秀賞受賞。

一級建築士事務所(株)Studio PRANA(ストゥディオ・プラナ)
所在地 東京都杉並区下井草5-16-9 2f 167-0022
電話 03-5303-8317
FAX 03-5303-8318
E-mail contact@prana-trees.com
URL http://www.prana-trees.com/

建築家の一言
葉山の自然も、そして趣味も楽しみたい、そんな夫婦のための小住宅。敷地の東側隣地が3m近く高くなっていることから、1階はRC造とし、2階は伝統的な木組みを活かし、快適な室内環境をつくるため、小舞土壁としています。2階の4間×4間の空間の大屋根を柱なしで支える架構(立体的な「自碇式合掌構造」)が特徴です。それによって、ゆったりしたワンルームのリビングが実現しました。また、棟木と登り梁以外はすべて東京の木(多摩産杉材)を使っています。北西に広がる風景を楽しみ、東側の木々のざわめきが感じられるように、建物の配置、ベランダや窓位置は検討を重ねました。当面は共働きであるご夫婦のため、機能性も重視しつつ、ゆとりと遊び心にあふれた住まいです。施工はいつもStudio PRANAと共に仕事をしてくれている町家大工都倉さんとチーム都倉の職人さん達。ちょっとした「職人技」も、あちらこちらにちりばめられています。
渡辺篤史の感想
高台の眺望の良い所にたっている姿の良い建物です。建主ご夫婦は様々な趣味をお持ちです。奥さんは特に料理。磨き漆喰の美しいキッチンはその舞台です。そして、ご主人は私と同好の士、オーディオがご趣味。ホールのような空間、音の響きがたまらなく良いです。 自然素材を多用した、近年なかなか出合えない味わい深い空間。こうした美しい建物が増えていくことを期待したいですね。