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2012年9月7日(金)放送 東京都荒川区・政本邸 − 2階に中庭のある町家 − |
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| 廣部 剛司(ひろべ・たけし) | ||||||||||
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1968年神奈川県生まれ。1991年に日本大学 理工学部 海洋建築工学科 を卒業後、芦原建築設計研究所(主宰 芦原義信1918-2003)に入所。公共建築や事業ビル、集合住宅などの設計に携わる。1998年春まで約2年間は、上野公園内の「国立科学博物館 新館」に監理責任者として常駐した。その後、世界の建築を実際に見て歩くために退所。8ヶ月に渡り世界中の名建築を訪ね歩く。この記録は2006年に著書『サイドウェイ 建築への旅』(TOTO出版)として書籍化されている(2009年に台湾版も発売)。 帰国後の1999年。廣部剛司建築設計室を設立し独立。 2009年 (株)廣部剛司建築研究所に法人化、住宅や店舗等の設計、 プロダクトデザインなどを手掛ける。 現在、日本大学、明治大学 講師 2007年2月から2年間。雑誌『モダンリビング』にて「響きのかたち」を連載。 海外建築の魅力を建築家の視点から伝えた。 |
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| 株式会社 廣部剛司建築研究所 | ||||||||||
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| 町屋の町家 包み込む建築 条件が厳しくタイトな敷地。そこに上から2層分の中庭をくり抜くということは、非常に大胆な方法に映ることでしょう。しかしそのおかげで2つの効果がこの家にもたらされています。1つは常にそこが空に開いているために、受け取ることのできる光の移ろい、流れる風、外で佇む静かな時間…です。そしてもう一つは、外部が入り込むことによって、よりタイトになった内部空間の密度です。手に触れる部分の小さなスケールから全体の構造まで、まるですべてを造作家具の延長でつくるような質の空間が生まれました。スペースは小さいけれど「豊か」につくる。それは素材の選択だけではなく、断熱性能の追究やホームシアターなどの付加機能を建築の中に組み込んでいくこと等にも現れています。それらを包み込んでいる壁・天井の仕上材には、大理石が練り込まれているため、肌理(きめ)が細かくマットな質感をその空間に与えてくれます。それは、まるでヨーロッパの古い建築のようにずいぶん前からそこにあるような空気感で、家の内部を柔らかく包みこんでいます。 |
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| ご夫婦の出合いは旅先のイタリア、ローマだったそうです。縁ですね。建築家との出合いも縁です。良縁があって、夢が実現したということでしょう。外観はシンプルに、内部は大人の空間です。私は特に居間が好きですね。中庭を取り込んだ空間の広がりは、数値からは想像できない、ゆったりした空気を生んでいると思います。 | ||||||||||