放送したお宅
2012年8月31日(金)放送
神奈川県葉山町・小寺邸
- 涼風を感じる葉山の家 -

2011年7月

敷地面積 188平米 (57坪)
建築面積 46平米 (14坪)
延床面積 82平米 (25坪)
木造
建築費:非公開 坪単価:非公開



緑豊かな山間の住宅地。敷地が前面道路より下がっているため、水はけのため床を高く設定。玄関へは橋を渡ってアクセスします。外壁はスギ羽目板目地押さえ。

出入り口は玄関と勝手口の2カ所。通風のため、2カ所とも網戸が付いています。広めの玄関収納には、趣味のアウトドア用品を収める他、愛犬の洗い場も設けています。

北斜面の敷地のため北面に遮る物が無く良い景色が広がります。この景色を取り込むため、LDKは敢えて北向きになりました。広さは約13畳。

対面式の台所は作業しながら景色を楽しめます。手元の壁を高くし居間側からの見た目をスッキリさせています。勝手口⇔玄関収納⇔台所という動線も機能的です。

薪ストーブの上部は吹き抜けで上階との繋がりや風の流れを作っています。一画に奥さんのワークスペースや愛犬の部屋が作られています。

北面の大きな掃き出し窓には全て引き込み式の木製建具で雨戸、ガラス戸、網戸、障子が入っています。床から30cm高くして下部を腰掛けとして利用できるようになっています。

2階の寝室は吹き抜けを通して居間と繋がります。隣接する1.5畳大の小部屋は仕事部屋。隣は物干し部屋。この建物で最も日当たりの良い場所です。

2階にある2畳の和室は押し入れ下に1畳分を利用して布団が敷けます。2階北側の水回りの天井・壁はサワラ縁甲板張り。こちらからも山の景色を楽しめます。

建築家のプロフィール
伊礼智(いれいさとし)
1959年 沖縄県生まれ
1983年 琉球大学理工学部建設工学科卒業
1986年 東京芸術大学美術学部建築科大学院修士課程修了
1986年~1996年 丸谷博男+エーアンドエー
1996年 伊礼智設計室設立
現在 日本大学生産工学部居住空間デザインコース非常勤講師

伊礼智設計室
所在地 〒171-0031 東京都豊島区目白3-20-24
電話 03-3565-7344
FAX 03-3565-7344
E-mail irei@interlink.or.jp
URL http://irei.exblog.jp/

建築家の一言
「葉山の家」(北側に開いて景色と涼風を取り込み、愛犬と共に暮らす住まい)

*敷地が道路から1メートルほど下がっている。
 廻りから雨が流れ込んでくる可能性があり、土を盛ると大変なので
 道路側からそのままブリッジ(デッキ)で玄関へアプローチ。
*杉板の外壁はご自分達で塗装を施し、セミプロ級の腕前も披露(笑)
*北面の景色がとても良かった。
 それに向かって素直に設計を組み立てた。
 家の奥に行くに従って床が下がっていき、その下がった先に、
 葉山らしい景色が待っている。
*階段下の柵は犬部屋。
*北側のリビング、デッキはお昼を過ぎて、陽が当たらなくなると、
 とても涼しい。照り返しのないデッキでの昼下がりの心地よさ、
 陽が当たっている北側の風景の素晴らしさがこの家の宝。
*キッチンからも、2階の浴室からも景色が楽しめる。
*暖房は薪ストーブの熱を、軸流ファンで2階の主寝室で回収、
 1階の床下に吹き込んで上下の温度差の解消と、床下の通気を試みる。
 夏はファンを逆転、床下の冷たい空気を寝室に送り込む。
*寝室脇のアールに切り取られた出入口は仕事場への入口。
 1帖ちょっとの籠もり部屋。
 その隣は西日のあたる物干しコーナー(室内干し)がある。
渡辺篤史の感想
古代ローマの建築家が提唱した建築の三要素「用・強・美」を備えた建物です。しかし、建物が必要以上に存在を主張することなく器に徹している印象です。住む人のセンスを生かす空間になっていると思います。これは、小手先のテクニックでできる事ではありません。つくる側と住む側の相性がピッタリ合ってこその結果ではないでしょうか。