放送したお宅
2012年8月3日(金)放送
神奈川県秦野市・萩原邸
− 中庭を巡る「ロ」の字ハウス −

2011年3月

敷地面積 113平米 (34坪)
建築面積 48平米 (15坪)
延床面積 86平米 (26坪)
木造在来工法
建築費:1590万円 坪単価:61万円



白い箱形の建物。東西に隣家、南に雛壇状に住宅が立ち並ぶ立地のため「内側に開く」中庭形式になりました。前面に植栽して柔らかい表情を作り出しています。

玄関を入ると正面の小窓から中庭が見えます。中庭の広さは約1.5坪。木の螺旋階段を昇って2階へ。階段上部は踏み板が広がって書斎コーナーになっています。

2階は、中庭を囲むように夫のアトリエ、居間、食堂、台所、デッキテラス、を配置。中庭が家族互いの気配を伝えつつ適度な距離を保ち、同時に通風・採光の要になっています。

北面の壁は全面が造作の本棚。敷地形に合わせ「末広がり」になった平面が広がりを感じさせます。食卓は、ご主人が足場材のパイプを利用して自作しました。

台所は対面式。壁の一部に外壁材を張るなど遊び心あるデザイン。ここに立つと中庭はもちろん、窓から北側を流れる川や遠くに丹沢山系を望む事ができます。

デッキテラスは壁に囲まれ、家族のためだけに空を切り取ります。中庭とも連続性があり、屋外と屋内を結ぶ空間です。

1階は中庭を中心に360度の回遊性がある間取り。子供室〜洗面室〜主寝室が明確な間仕切り無しに繋がったワンルームです。

洗面・脱衣室や収納は必要に応じてカーテンで仕切ります。

建築家のプロフィール
萩原健治
1973年 神奈川県生まれ
1994年 中央工学校建築設計科卒業
1994年 設計事務所勤務を経て
2000年 萩原健治建築研究所設立

萩原健治建築研究所
所在地 神奈川県秦野市今泉1005-17
電話 0463-82-3359
FAX 0463-82-3350
E-mail hagiwara@kh-arc.com
URL http://www.kh-arc.com

建築家の一言
秦野盆地の中腹に建つ、家族4人の住宅である。敷地南側には敷地レベルよりも5メートルほど高い位置に古い牛舎があり、景観や音、臭気に対する策が必要で、また将来的には分譲住宅地となることも考えられ、視線に対する策も必要であった。私の提案は、外部からの視線を遮断しつつ、大きな樹木、広い空、そして太陽といったエッセンスのみを室内に供給し、それらの見え方、感じ方に呼応するように、回遊し、内部と外部をシンクロさせるという空間であった。中庭からの光で満たされた内部空間、外壁の一部によって隠されたルーフテラスは、季節の光の強弱によって家族に様々な場を提供するが、何処にいても中庭を通じ樹木や空や太陽を共有する。こうした建物の外にある要素によって、建物の中に暮らす家族が結びつきを深められるような住宅を作りたかった。
渡辺篤史の感想
ご主人は建築家。妻、子供たちのためにこの家をデザインしました。わずかと言っていい1.5坪の中庭ですが、これが効果的です。通風・採光はもちろん、全ての部屋に空間の広がりをもたらしています。家族に対する思い、愛情に溢れた建物です。