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2012年6月29日(金)放送 神奈川県横浜市・石動邸 - 家の中に庭付き一戸建て - |
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谷尻 誠 | ||||||||||||||||||
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Suppose design office (HEAD OFFICE) | ||||||||||||||||||
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Suppose design office (TOKYO OFFICE) | ||||||||||||||||||
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瀬谷の家 自然という存在に興味がある。 時間や変化を受け入れ強く存在する自然、そんな自然に限りなく近い建築の姿について日々考えている。空や森や海、あらゆる自然は大きい。 これは誰もが周知の事実であるが、なぜ誰もが大きいと感じているのだろうか。 空が何ヘイホウメートルあるのか解らないし、森も同様であり、その大きさ、つまりはスケールが解らないと言うことが人々が大きいと認識してしまうきっかけがあるのではないだろうか。そんな大きさについて考えてみる。 建築にはスケールがあり、それ故に大きさや高さについて考え続けているようにも思う。自然と建築を等価に考える事で、互いが親密な関係を築くことができるとしたならば、建築のスケールを排除するのか、あるいは自然にスケールを与えることによって、新しい建築と自然の関係が生まれるのではないかと考えた。瀬谷の家は住宅地の中にある小さな敷地での計画である。 クライアントの奥様はフラワーショップにお勤めで、植物や花の似合う住宅を望まれていた。建築は内部空間をつくるために敷地内に壁という線を引くことでつくられていくが、ここでは内部だけでなく外部をも同時に壁によって囲い込むことにした。 それまでスケールのなかった外部が壁で囲まれたことによってスケールが与えられ、従来の室内と庭という関係ではなく、内部と内部の関係かのように置き換えられたことで、庭でありながらも部屋のような場所になった。 建物のアウトラインを木造倉庫のような、ざっくりとした壁で構成としており、今後ここでの生活がはじまると、時間と共に植物の成長、本棚が増設、絵が飾られるなどの生活の行為によって、日々変化のある自然と同じ原理をもつ、毎日が未完成であり毎日が完成とも言える空間となっていくだろう。建築は完成をむかえる。この建築は日々うつろう建築であり、その変化自体を受け入れる事から始まる。自然にスケールが与えられたことで、自然が建築化され、限りなく自然に近い建築となった。完成された住宅部分と、日々うつろう未完成な庭部屋との関係は、時間と共に徐々に混ざり合っていく。 完成を目指して建築をつくるのではなく未完に向かうことで、内部と外部の新しい関係がここには生まれた。予定調和な空間ではなく、予定不調和な状況自体をも許容できる、そんな空間は、ある意味では多くの要素を許容できる真の強度を持ち得るのではないだろうか。 未完成という完成の先にある、いままでにない豊かさが、この場所に芽生えていくことを私たちは建築を通して考えていきたいと強く思う。 |
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ご夫婦共に緑が大好きだそうで“庭部屋”は、その夢を叶えた空間です。屋内でありながら、大きな吹き抜けとトップライトからの明かりで、屋外空間のようです。狭小と言っていい建物です。この中に3層の居住空間とこうした趣味空間まで設けますと窮屈になりそうですが、設計力で見事に解決しています。敢えて未完成に感じる空間が、住み手のアート心を刺激するのではないでしょうか。 | ||||||||||||||||||
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