放送したお宅
2012年3月23日(金)放送
京都府宇治市・石田邸
− 大屋根がうねる終の棲家 −

2010年5月

敷地面積 264平米 (80坪)
建築面積 101平米 (30坪)
延床面積 113平米 (34坪)
木造
建築費:2400万円 坪単価:70万円



背景の宇治の山並みを写したかのようにうねる大屋根。変形5角形の平面に対し、3本の登り梁を持つ屋根を載せたため、必然的にねじれが生まれました。

屋根・外壁はガルバリウム鋼板の上に、3センチ幅のレッドシダーの小径木を3ミリずつ隙間を空けて張っています。しかも、屋根がうねっているため、同じ長さの木材は1本もありません。

60代夫婦の終の棲み家のため、バリアフリーに配慮したワンルームでありながら、屋根形そのままにうねる天井や、水まわりの配置による緩やかな間仕切りで空間に変化を生んでいます。

大きな掃き出し窓によって居間との連続性が感じられる庭。建物と同じ小径木が張られた収納は、一見塀のようですが実は奥行きがあり大容量。趣味の庭いじりの道具などが収まります。

台所はセパレートでありながら連続性も感じられる配置。手持ちの食器類のサイズに合わせて収納のサイズも決めたオリジナル。上部はロフトになっています。

西端にあるフリールーム。主に客間として使われるため、専用のシャワールームが付いています。

居間と寝室の間にあるメインの水回り。清潔感のある白色主体の空間の、床の一部に張ったデッキ材がアクセント。天窓からは自然光が降り注ぎます。

徐々に幅が狭くなっていく通路を抜けて東端の寝室へ。こちらも大きな掃き出し窓から庭を眺められます。

建築家のプロフィール
id/石田えり  木昭良建築設計事務所/木昭良
石田えり
1979年生まれ
15歳で渡米、2003年ノースイースタン大学、ボストン卒業
手塚建築研究所その他の設計事務所を経て2011年 id設立

木昭良
1974年生まれ
横浜国立大学大学院修士課程修了
手塚建築研究所を経て2006年木昭良建築設計事務所設立

id
所在地 神戸市中央区江戸町101番地305
E-mail info@id-architecture.jp
URL www.id-architecture.jp

木昭良建築設計事務所
所在地 静岡県浜松市東区有玉南町1711-1-102
電話 053-482-8698
FAX 053-482-8699
E-mail office@at-a.net
URL www.at-a.net

建築家の一言
30年以上連れ添った夫婦の終の棲家。
宇治の山並みが美しく、川の水音が耳に心地よい、のどかな環境に建つ。
計画にあたりクライアントからは、庭弄りに没頭できるまとまりのある庭と、「変化のある空間」が求められた。
今後、家で過ごす時間が増える二人にとって、「変化のある空間」とは、長時間過ごしても飽きることがない多様さと、気分に応じて二人の距離感を変えられる柔軟さを備えた空間であると考えた。
ひとりの時間が欲しいけれどお互いの存在を感じられないと不安になる。そんな二人のつかず離れずの距離感を保つため、居室部分に水廻り兼収納のコアを交互に配して空間を分節することで、蛇行して連なり、全ては見通せないけれど気配は感じられる一室空間をつくり出した。
やんわりとねじれながら高さを変える天井面、変形敷地であることにより角度がついた平面と開口部によって、行き止まり感のない大らかで変化のある空間が生まれた。
渡辺篤史の感想
実に落ち着く空間で、わずかな時間滞在しただけですが、住み心地の良さを想像することができます。例えば、この建物を歴史的な街並の中に配置したとしても、建物・街並双方が引き立て合えるデザインだと思います。新しさの中にも、どこか懐かしさを湛えた建築です。