放送したお宅
2012年2月17日(金)放送
神奈川県横浜市・高橋邸
- 幅3.4m 3つの出窓の家 -

2010年11月

敷地面積 72平米 (22坪)
建築面積 43平米 (13坪)
延床面積 71平米 (22坪)
木造
建築費:2000万円 坪単価:93万円



元は親の家の庭だった敷地にたつ東西3.4m×南北12.7mの細長い建物。南北2面で接道していて、窓の無い北・東面に対し、南・西面は大きな開口を設けた開放的な印象。

駐車場奥のドアをくぐると黒色を基調とした玄関ホール。天井・壁をクロスで、床を磁器質タイルで仕上げています。玄関脇の扉はキーロッカーです。

2階を居間としているため、玄関は敢えて暗い印象にして、明るい上階へと導かれる効果を狙っています。吊り構造の階段の下には靴収納を設置。

白色を基調とした2階。色だけでなく、天井高も3.8mと1階(2.1m)と大きく差をつけ、開放感を強調します。ワンルームですが、中心に階段室を置く事で、緩やかに領域を分けます。

西面には3つの出窓。北から順番に、採光・デスク・座椅子にできるよう取り付ける高さ・張り出し量を変えています。出窓は床面積に算入されないため、部屋を実際より広く感じさせます。

階段室の手摺の一部は本棚に。食卓用の照明も、その低い壁から出るオリジナルデザインです。

2階北側は将来の子供室を想定した空間。ロールスクリーンで仕切ります。2階の一部にはロフトを設けました。南に行くに従って幅が狭くなる形状で、居間から見た時の圧迫感を軽減します。

水回りと寝室は1階なので黒色基調。寝室にはピアノを置くため、窓を二重サッシとして防音性を高めています。

建築家のプロフィール
秋山 怜史
昭和56年生まれ
神奈川県立横浜平沼高等学校97期生
東京都立大学工学部建築学科卒業
平成20年 秋山立花設立

一級建築士事務所 秋山立花
所在地 横浜市戸塚区戸塚町4668-22 101
電話 045-383-9586
FAX 045-383-9587
E-mail s.akiyama@akiyamatachibana.com
URL http://www.akiyamatachibana.com

建築家の一言
夫の実家の駐車スペースという、限られた敷地条件の中で、施主夫妻の望む、多くの友人が集まれることができる空間であることと、こどもが生まれても個室ではなくつながりのある空間で育てたいという2つの要望をかなえるべく設計を進めた。
小さな敷地のなかに、広さを演出するために必要なことは「対比」と「変化」である。
玄関、水回り、寝室のある1階を小さく、低く、黒い空間とし、生活の主となる2階を大きく、高く、白い空間とした。この対比により、階段を登りきったときに感じられる広さは実際の面積以上に感じられる。
2階には空間を斜めにつっきるロフトが浮かび、遠近感を生み出す。3つの出窓は出幅、高さを変えて並び、短辺方向に抜けをつくる。このロフトと出窓によって、ひとつながりの空間であっても様々な場所が生まれ、見え隠れし、変化に富んだ空間となる。また、3つの出窓はソファや机になるなど、機能までも出したことで「広い」を演出する一助となった。
渡辺篤史の感想
若い夫婦のための小さな住宅です。玄関ホールを敢えて暗くタイトに抑えたため、階段上っての開放感が際立ちます。そして、出窓。取り付け位置・サイズを一工夫することで更なる広がりを獲得しています。
建主とは中学生の頃から約20年の付き合いとなる設計者。性格・好みも良くわかっているためでしょう、見事に期待に応えましたね。





次回放送のお宅
2012年2月24日(金)放送
東京都世田谷区・滝川邸
- 家族をつなぐ鉄錆の家 -
表面を錆びさせる事で耐食性を得る鋼材(コールテン鋼)の屋根が印象的な事務所付き2世帯住宅。平面は複数の箱を少しずつずらした形で、それぞれの隙間から通風・採光します。
お楽しみに!!