放送したお宅
2012年2月3日(金)放送
神奈川県川崎市・馬場邸
− 内にも外にもバルコニー 10坪の家 −

2011年4月

敷地面積 55平米 (17坪)
建築面積 32平米 (10坪)
延床面積 86平米 (26坪)
木造軸組工法・一部木造ラーメン構法
建築費:非公開 坪単価:非公開



東西に細長く西面で接道した敷地にたつ白い箱を積み重ねたような建物。玄関扉に見えたパンチングメタルの折れ戸は実は“門扉”で、開くと駐車場を兼ねた前庭になっています。

前庭にはサルスベリが植えられ、デッキを通して上階まで伸びています。1階には趣味のアウトドア用品を収めた趣味室があります。プライバシーの守られた前庭は趣味室の延長のようです。

1階奥に設置した螺旋階段は蹴上げ・踏面共にエキスパンドメタル製で上階から採光すると同時に通風にも寄与します。

2階はLDK。広さは約12畳ですが、西側の外部バルコニーに加え、天井の半分をエキスパンドメタルとして上階の内部バルコニーまでも一体化したデザインで広大な空間を演出します。

構造柱の内側に壁を張らず棚として活用した事や、梁を現しにした天井も、空間を広く感じさせる工夫です。台所はシンプルなI型。

外部バルコニーは周囲の壁を高くしてプライバシーを守ります。床の高さを居間と面一にし、敷居を落として窓枠を隠しているのも一体感を高めるデザインです。

3階は、エキスパンドメタルの床の内部バルコニーとフローリングの寝室。北側斜線に沿った天窓から光が存分に入ります。開放的な部屋ですが折れ戸によって閉じることができます。

寝室は可動家具によって2部屋に仕切る事ができます。ロフトにも寝室と同様の折れ戸が設置されています。屋上バルコニーからは近隣の屋根越しに景色を楽しめます。

建築家のプロフィール
佐藤森
1973年 神奈川県生
1996年 早稲田大学理工学部建築学科卒業
1998年 同大学大学院修士課程修了
1998年- トルコ、イラン、パキスタン、インド、中国など14ヶ国を経て、ユーラシア大陸を陸路で横断
2000年- ア−ツ&クラフツ建築研究所
2005年- ミャンマー、インド
2006年- アーツ&クラフツ建築研究所
2008年- +○一級建築士事務所設立

+○一級建築士事務所設立
所在地 神奈川県川崎市中原区上丸子八幡町596-101
電話 044-422-8486
FAX 03-6856-4892(mailfax)
E-mail pluszero@s01.itscom.net
URL http://pluszero.info/

建築家の一言
約16坪の敷地に建つ小住宅。
地盤が軟弱であったのと1階に間口いっぱいの駐車場を必要とするため、木造ラーメン工法を採用している。これゆえ建物重量の軽量化及びローコスト化を図った。
クライアントはアウトドアを趣味にしていることもあり、この住宅には3つの性格の異なるバルコニーを設けた。1つは2階の内部のようなアウターバルコニー、もうひとつは3階の外部のようなインナーバルコニー、そして屋上バルコニー。
インナーバルコニー上部には、この建物の屋根の大きさ約半分を占める大きなトップライトが設けられており、ここからの光は北側の3層分程の高さがある壁で反射されて、ロフト、3階、そして2階の居間まで届く。ここからの光は密集地に建つこの住宅の主な採光ともなっている。
そしてこのインナーバルコニーはロフトや3階のプライベートスペースと、2階の共有スペースである居間との間の、プライバシー上のバッファーゾーンでもあり、外部の自然の変化に対して大変敏感な空間でもある。ここがこの住宅の核になればと考えた。
渡辺篤史の感想
東西に細長い狭小と言える建物です。しかし、室内に身を置いても狭さを全く感じません。リビングと一体の外部バルコニーは、周囲の壁を高くする事で、部屋の一部のように感じられます。さらに3階の内部バルコニーとその先のトップライトを透かして見える青空は屋外にいるかのように気持ちいいです。そして、小さな家ながらも妥協する事なく、趣味の空間がたくさん採られているところも素晴らしい。生活を存分に楽しんでいる家族に相応しい建物です。