放送したお宅
2011年12月16日(金)放送
神奈川県横浜市・番邸
- 列柱が支えポジャギが仕切る家 -

2010年3月

敷地面積 103平米 (31坪)
建築面積 46平米 (14坪)
延床面積 117平米 (35坪)
木造・一部鉄筋コンクリート造
建築費:非公開 坪単価:非公開



緑豊かな公園を望む敷地。傾斜地のため地下になるコンクリート部分から黒いキューブが迫り出したような外観。外壁の黒い部分は焼杉張りです。

地下にあたる玄関。床は上がり框が無くコンクリート仕上げ。片持ちの階段の上から注ぐ明かりが上階へと自然に導かれます。

1階は約25畳大のLDK。中心近くに卍形に配置した列柱が構造材で緩やかな間仕切りになっています。床から天井までの窓が公園を借景します。

食堂上部のみ3.5mの吹き抜けとして、ガラス越しに2階と繋がります。縦型のフィンは輻射式の暖房器具。列柱は、この暖房の蓄熱体としても機能します。

LDKの天井は縦横にレールが走り、ポジャギ=韓国式のパッチワーク=によって自在に仕切られます。ここで使われているポジャギはインテリアデザイナーである妻が自らデザイン・製作した物。

2階もワンルームで、中央に階段室とロフト収納を抱く「ロ」の字形のスペース。1階と同じくポジャギで仕切られます。ここからも公園の緑を楽しめます。

4.5畳大のロフト収納は周囲全てが折れ戸で4方から出し入れできます。北側には壁1面にオイルペイントを塗り、子供の落書きスペースとしています。将来は書庫になる予定。

地階は、水回りと妻の仕事部屋。いずれも広いドライエリアを設けているため、プライバシーを守りつつも開放感は抜群。ここからも公園の緑を楽しめます。

建築家のプロフィール
森清敏+川村奈津子
森 清敏
1968年 静岡県生まれ
1987年 長野県立長野高等学校卒業
1992年 東京理科大学理工学部建築学科卒業
1994年 同大学院修士課程修了
1994~03年 大成建設株式会社設計本部
2003年~ MDS一級建築士事務所共同主宰
2006年~ 日本大学非常勤講師
2009年~ 東京理科大学非常勤講師
2010年 株式会社MDSに改組 代表取締役

川村 奈津子
1970年 神奈川県生まれ
1994年 京都工芸繊維大学工芸学部造形工学科卒業
1994~02年 大成建設株式会社設計本部
2002年 MDS一級建築士事務所設立
2010年 株式会社MDSに改組 取締役

番 祐貴子
1969年 神奈川県生まれ
1993年 多摩美術大学美術学部デザイン科卒業
1993年 株式会社日本設計インテリア設計部入社
2004年 有限会社ハッタユキコ設立

株式会社MDS一級建築士事務所
所在地 〒107-0062 港区南青山5丁目4-35 #907
電話 03-5468-0825
FAX 03-5468-0826
E-mail info@mds-arch.com
URL http://www.mds-arch.com
有限会社ハッタユキコ
E-mail yukiko@8ban.net
URL http://www.8ban.net

建築家の一言
緑豊かな公園に面して、道路面より一層高いレベルに木造2層の居住スペースを、その基壇のコンクリート部分にアトリエを計画しました。インテリアを中心に共同設計したクライアントの要望として「ポジャギ」という韓国の伝統的なパッチワークが挙げられていましたので、その「ポジャギ」を軸にしたコンセプトを考えました。内部は15センチ角の柱を連結させた列柱壁と短冊状のポジャギがワンルーム状の空間をフレキシブルかつ緩やかに分節し、外壁はポジャギと同様、短冊状のガラスと壁の組み合わせとし、眺望の良い面と悪い面で開口率を変化させました。ポジャギのレイアウトを変えることにより、様々なシーンが生まれ、変化に富んだ生活空間を楽しむことができます。
渡辺篤史の感想
目の前に公園があり、空、上階からは山の稜線まで眺められる場所。そのランドマークともなりそうな建物です。立地を活かし、眺めをコントロールした開口の採り方が見事。また、がっちりした構造に支えられた大らかな間取りで、その時々の気分や必要に応じて使い方を変えられます。この建物は、奥さんと仲間の建築家による共同設計ですが、それを温かく見守るご主人の存在も大きかったのではないでしょうか。